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2023.03.27

元OpenAI社員設立のAIスタートアップAdeptが460億円調達

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現在はチャットボットがAI(人工知能)活用の主流を占めているが、今後はAIが入力されたクエリに回答するだけでなく、それを実行するようになると「Adept(アデプト)」の共同創業者のデイヴィッド・ルアン(David Luan)は予測する。

彼によると、人間がコンピュータを操作して実行することを、AIが代わりにやってくれるようになるのだという。AI分野におけるイノベーションのスピードを考えると、そのような技術が実現するのは数十年後ではなく、2~3年後になるとルアンはいう。

ルアンは、自他ともに認める自動車マニアだ。彼が思い描く世界では、エンジニアがAIアシスタントに新しい自動車部品の設計図作成を依頼すると、AIが正しいソフトウェアプログラムを選択し、必要なコマンドやコードを入力して指示どおり作業をしてくれる。

人間は、必要に応じて介入すればよいだけだ。設計図の一部を修正する際に、シミュレーションソフトウェアでテストしたり、設計図をメーカーに送付する作業もAIが行ってくれる。

アデプトは、創業から1年しか経っておらず、従業員数もわずか25名だ。しかし、同社は3月14日に発表したシリーズBでベンチャーキャピタル(VC)から3億5000万ドル(約457億円)を調達した。同社は、ChatGPTのようなテキストやDALL·E 2のような画像を生成するわけではない。

アデプトは、インターネットの閲覧から複雑なエンタープライズソフトウェアの操作まで、人間がどのようにコンピュータを操作しているかを徹底的に研究し、テキストコマンドをアクションに変換するAIモデルを構築した。

「シンセサイザーを使えばあらゆる楽器の音を奏でることができる。我々は、コンピューティングでも同じことを実現したいと考えている」とルアンは話す。

シリーズBラウンドでは、ゼネラル・カタリストとスパーク・キャピタルが大半を出資した。関係者によると、ポストマネーバリュエーションは少なくとも10億ドルだという。

ルアンによると、ラウンドの大部分は、ChatGPTがコンシューマ向けAIの熱狂を巻き起こす前の昨年秋に完了したという。最大出資者であるゼネラル・カタリストのマネージング・ディレクター、ディープ・ニシャールは、複数の競合VCを抑えて同社がリードインベスターの座を獲得したと述べている。

投資家がアデプトに群がる理由の1つは、創業者メンバーの経歴にある。CEOのルアンは、OpenAIのエンジニアリング担当バイスプレジデントを経て、グーグルで大規模モデルの構築を指揮した経歴を持つ。
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編集=上田裕資

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