北米

2023.03.28 12:30

北米で原子力回帰の兆し 20年間の停滞経て

この計画は、2009年に同州の公共サービス委員会から認可された。原子炉は、米原子力発電設備大手ウェスチングハウスのAP1000型原子炉2基で、それぞれ約1117メガワットの出力がある。(訳注:同原発ではすでに1号機と2号機が稼働中で、現在稼働準備が進められているのは3号機と4号機)

うち1基は当初、2016年の稼働開始を見込んでいたが、長年にわたる建設の遅れや大幅な予算の超過に見舞われてきた。だが、3号機は今月初旬に起動試験を開始し、核分裂を開始した。商業運転は5~6月頃に開始する予定。4号機は早ければ11月にも稼働する可能性がある。このように、今年はいよいよ米国でも原子力発電が復興するはずだ。

米原子力規制委員会(NRC)によると、同国では過去10年ほどの間にかなりの数の原子炉の新設が承認された。ところが、その大半が福島の事故の影響で、申請者自らによって取り下げられたという。現在、ボーグル原発以外に米国で建設中の原子炉はない。

ボーグルでの建設の大幅な遅れや予算超過を考えると、米国で従来の原子炉が再び建設されるのは、相当先のことになるかもしれない。次の世代では、小型モジュール炉(SMR)が台頭してくると思われる。SMRは従来の原子炉より柔軟な設計になっており、安全で効率が良く、遠隔地での発電や、老朽化した石炭火力発電所の代替としても利用できる。

日立製作所とゼネラル・エレクトリック(GE)の合弁会社である日立GEニュークリア・エナジーは今年1月、カナダ型加圧重水炉(CANDU)を手がけるSNCラバリンとカナダ建設大手エーコンとともに、沸騰水型SMR「BWRX-300」をカナダ・オンタリオ州営電力会社(OPG)のダーリントン原発に納入する契約を締結したと発表。これは北米での送電可能な規模のSMRとしては初の商業契約であり、SMRの導入に向けた大きな一歩となる。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事