北米

2023.03.25

TikTok CEO、米公聴会で何を言った? 議員らフォーブス記事も引用し追及

米下院エネルギー・商業委員会の公聴会で証言するTikTokの周受資CEO(2023年3月23日、Chip Somodevilla/Getty Image)

中国発の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資(ショウ・ジ・チュウ)最高経営責任者(CEO)が23日、米議会の公聴会で初めて証言し、共和・民主両党の議員たちから厳しい追及を受けた。周は米国の利用者のデータは外国の干渉から保護されるなどと主張したが、TikTokの方針をめぐる議員の疑問は解けなかった。

公聴会を開いた下院エネルギー・商業委員会のキャシー・マクモリス・ロジャース委員長(共和党、ワシントン州選出)は、TikTokは「中国共産党が米国民へのスパイ活動に用いている武器」だと断じ、TikTokによる米国の利用者に対するスパイ行為や監視についてただした。TikTokは北京に本社を置くテック企業ByteDance(バイトダンス)が所有する。

周はTikTokが米国の利用者に対するスパイ行為をはたらいているという説明には「同意できない」と述べ、TikTokは米国で取得したデータを外国のアクセスから守ることに「尽力している」と主張した。

周は中国政府の関係者が米国の利用者のデータにアクセスしたという「証拠を見たことがない」とも語った。これに対し、民主党のアンナ・エシュー下院議員(カリフォルニア州選出)は「実にばかげた」主張だと一蹴した。

共和党のニール・ダン下院議員(フロリダ州選出)は、バイトダンスがTikTokのデータを通じて米国人の位置情報を監視しようとしていたと報じた2022年10月のフォーブスの記事を引き合いに出し、バイトダンスは米国市民にスパイ行為をはたらいたことがあったのかどうか問うた。

周は「スパイ行為という表現は適切ではない」と答えた。

2021年からTikTokを率いている周は、TikTokは過去2年にわたり、米国の利用者のデータを保護したうえで外国の不正アクセスから完全に遮断する「ファイアウォール」を構築してきたと説明した。

また、米国で得たデータを米Oracle(オラクル)が所有するテキサス州のサーバーに保存する「プロジェクト・テキサス」と呼ぶ取り組みも紹介し、両党の議員の懸念を和らげようとした。

だが民主党のフランク・パローン下院議員(ニュージャージー州選出)は、計画は「まったく満足できるものでない」とし「あなたがたのやることは北京の共産党政権がなおコントールするだろうし、影響も行使できるだろう」との認識を示した。
次ページ > TikTok側は「政治的なパフォーマンス」と批判

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事