同協会は、万博に向け、「デザインの視点」と「共創」によりイノベーションを興すプログラム「Co-Design Challenge(CDC)」を実施している。当日は、EXPO共創プログラムディレクターの齊藤精一(パノラマティクス代表取締役)をファシリテーターに、クリエイティブディレクターでデザイナーの服部滋樹とデザイナーの倉本仁が登壇。デザインの視点から「これからの日本の暮らし(まち)」について考えた。
生み出した「後」のことも考えるデザインに
CDCは、選定された12の企業・団体がデザイナーたちとともに新しい「何か」をデザインして、万博会場内外で実装し世界に向け発信していく取り組み。これからの暮らしや地域に焦点をあてた、プロダクトや仕組みなどを構築する。具体的にはどういったものを「デザイン」するのだろうか。
まず斎藤は12の選定事業について、「ただ新しいものをつくりだすというより、それがどのように消えていくのか、次に継承されていくのかというところまでデザインされていました」と総評。今後、日本のものづくりにおいては、こうした考え方が主流になってくるという。
倉本は、「Co-Design Challenge」の「Co」に触れ、デザインにおいては「コミュニケーション」が重要だと話した。
「デザインは、日本語にすると“設計”に近い言葉ですが、なぜ日本でこんなに“デザイン”という言葉がつかわれているのかというと、“コミュニケーション”というニュアンスを含んでいるからだと思います。一緒に(製品やサービスを)つくる仲間、それを使ってくれるユーザーなど、いろいろな人たちとコミュニケーションしながら、お互いの意見をうまくまとめてものづくりをして、未来の社会、日本の暮らしをデザインすることが大切です」
今回の万博は「People’s Living Lab(未来社会の実験場)」をコンセプトに掲げており、CDCでも実現可能性が担保された事業ではなく「チャレンジ」の余白が残るものを選定している。服部が「チャレンジなのだから大いに失敗した方がいいんです。ミスデータこそ、あらゆる人のヒントになっていくのですから」と語るように、企業・団体とデザイナーとが試行錯誤をしながら共創していく予定だ。
制作プロセスなど、「チャレンジした証」をさまざまなジャンルでストックすることで、万博以降のものづくりにもつなげていく。