2023.03.27

車載ヘッドアップディスプレイの英Envisics、60億円超を調達

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ここ数年、ホログラム技術を採用した自動車向けのヘッドアップディスプレイ(HUD)を開発する企業が増えている。

HUDは、フロントガラスに速度メーター等を表示したり、現実の光景に進路やアラートを重ねて表示したりするテクノロジーで、現状では主に電動自動車(EV)の高級モデルに搭載されている。この技術を専門とする英企業が、大手サプライヤーと自動車メーカー傘下の投資会社3社から60億円以上の出資を獲得した。

英Envisicsは3月9日、シリーズCラウンドの一環として、5000万ドル(約65億円)を超える資金を調達したことを明らかにした。このラウンドは、現代(ヒョンデ)モービスが主導し、ゼネラルモーターズ(GM)ベンチャーズ、Tarsadia Investments、ジャガー・ランドローバー傘下の投資会社のInMotion Ventures、自動車メーカーのステランティスが参加した。

Envisicsは、ホログラム技術を用いた拡張現実ヘッドアップディスプレイ(AR HUD)を手掛けている。同社の創業者でCEOのジェイミソン・クリスマス(Jamieson Christmas)博士は、「今回のラウンドに参加した投資家の顔ぶれは、世界の自動車メーカーが車両インターフェースとインテリア・アーキテクチャの変革を重要視していることを示している」と述べている。

GMでUltifi(アルティファイ)デザインを担当するシニアマネージャーのサンディー・リプスコムは声明の中で次のように述べた。「EV車両の2024年型キャデラックリリックにAR HUD技術を搭載することが決定し、Envisicsとのコラボレーションは今年中に生産体制に入る。このイノベーションは、ドライバーの視界により没入感のある情報を統合し、エクスペリエンスをさらに高めるものだ」

ジャガー・ランドローバーは、2010年に他社に先駆けてEnvisicsのホログラフィックHUDを採用した。ストレイト・リサーチが3月7日に発表したレポートによると、HUDの需要は急拡大しており、今後も成長が続く見込みだという。

「世界の車載用HUD市場規模は、2022年に15億7000万ドル(約2000億円)に達した。2023年から2031年は年平均23.60%で成長し、2031年には105億7000万ドル(約1兆4000億円)に達すると予測されている」と同レポートは述べている。

ドライバー体験の向上を目指すHUD業界の好調は今後も続きそうだ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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