さらに、米国が中国貿易に対してますます敵意を募らせていることも挙げられる。米国ほどではないが欧州連合(EU)も中国を警戒している。米国は対中国貿易と中国への投資を抑制するために注目に値する法案をここ数カ月で可決した。継続している関税に加えて、貿易制限は主にテクノロジー、特に半導体に焦点を当てているが、それは決して些細な措置ではない。つい最近導入された投資制限は、貿易制限が中国に与える悪影響を拡大させるだろう。EUは米国ほど露骨な敵意は示していないが、不公正な貿易慣行と明確に見なすものに対しては対抗措置を講じる姿勢をみせている。
一方で、米国や欧州の企業は政府とは関係なくこれまでの中国貿易への依存を見直し始めている。その理由はサプライチェーンの回復力、調達先としての中国の信頼性への不信感、コストの上昇、中国政府の特許や著作権保護に対する無頓着ぶりに対する長年の反感などだ。これらが相まって大きな逆転現象が起きている。ここ数カ月の間にアップルやサムスン、そしてボルボやアディダスなどが生産拠点を中国からアジアのどこか、あるいは遠くに移すと発表した。これら企業はほんの一例に過ぎない。
こうした動きの影響を裏づけるかのように、中国の税関当局はこのほど輸出の急減を報告した。完全なデータが入手できる昨年12月の輸出は前年同月比9.9%減だった。米国、欧州、日本の経済が抑制されているため、この傾向がすぐに逆転することはないだろうが、緩やかになるのは間違いない。また、中国の堅調な高級品消費が続くかは疑問だが、たとえ続いたとしても貿易の減少を帳消しにできる可能性は低い。こうしたことから、IMFは近々予想を下方修正する公算が大きい。
(forbes.com 原文)