VTB銀行をはじめとするロシアの金融機関は、欧州に投資銀行部門や資産運用部門を置き、ロンドンに支店を構えていたが、今後は欧州企業の社債発行や株式公開に関わることは難しくなるだろう。特にチェコのような欧州の小国では、ロシアの銀行がかつてこの分野で業界を先導していた。VTB銀行のロンドン支店は昨年2月に資産を凍結され、翌月から閉鎖されている。12月には裁判所の命令で管財人の管理下に置かれることとなった。
英ロイター通信は9日、ロシアのズベルバンクの直近の決算報告で、こうした海外での資産差し押さえや事業の喪失により、昨年の純利益が78%もの大幅な落ち込みを見せたと報じた。同銀行のゲルマン・グレフ最高経営責任者(CEO)は、ズベルバンクは「一番に攻撃対象となる存在」であり「複雑さと力の点で前例のない課題」に直面していると説明した。
一方、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は今月初め、モスクワでグレフCEOと会談した際「金融業界や政府機関、中央銀行の努力のおかげで、こうした(制裁の)困難をほぼすべて乗り越えることができた」と強調していた。大統領は、ズベルバンクの現在の安定した地位は「経済全体にとって良い兆候だ」と評価していた。
欧米の制裁は今後も長く続くと予想される中、その影響で破綻に追い込まれるロシアの銀行も出てくるのだろうか?
シンガポール在住の著名な商品投資家ジム・ロジャーズは「ロシアで何が起こるのかは誰にもわからない。なぜなら私たちはみな、報道で読んだことしか知らないからだ。報道では、ロシアは制裁前に銀行をうまく処理し、制裁後も何とか管理していると言っている」と指摘する。ロジャーズはかつて、ロシアの肥料会社フォスアグロの取締役も務めていた。まだロシアに残っている資金があるという。「制裁開始直後はルーブルが下落したが、その後上昇した。これだけを見ても、ロシアの誰かが何か正しいことをしたのだと、市場は私に教えてくれる」
(forbes.com 原文)