「世界のロケット打ち上げ能力は現在、旧式ロケットの引退や新型ロケットの投入の遅れ、大規模な衛星ブロードバンドによる新たな需要のためひっ迫している」とヘンリーは説明する。「信頼性が高く、費用も手ごろで、重量物を運搬できるロケットを順調に打ち上げていくことのできる企業は、目の前に非常に大きなチャンスがある」
レラティビティー・スペースはティム・エリスとジョーダン・ヌーンによって2015年に設立された。エリスはジェフ・ベゾスのブルーオリジン、ヌーンはイーロン・マスクのスペースXの出身だ。もともと金属の3Dプリントに取り組んでいた2人は、宇宙船も3Dプリント技術によって開発できそうだと考え、さらに従来の製造法より優位な面もありそうだとみて創業したという。2018年にはともにフォーブスの「30歳未満の30人」に選ばれている。
最高経営責任者(CEO)を務めるエリスによると、起業にあたっては資金集めが課題になったが、富豪で著名投資家のマーク・キューバンと連絡がとれるかもしれないアドレス宛てに手当たりしだいにメールを送ってみたところ、幸運にもその1通が本人の目に留まり、いきなり50万ドル(現在の為替レートで約6600万円)を出資してもらえることになった。以来、レラティビティーは累計13億ドル(約1700億円)あまりの資金を調達し、調査会社のピッチブックの見積もりでは企業評価額は40億ドル(約5300億円)を超える。
レラティビティーによると、これまでに米航空宇宙局(NASA)や衛星ブロードバンドを手がける英ワンウェブを含む顧客と計12億ドル(約1600億円)超の打ち上げ契約を結んでいる。カリフォルニア州ロングビーチの本社にあり、世界最大級の3Dプリンター群であるスターゲートでロケットの構造体や部品を生産している。今回打ち上げたテラン1には、初めてプリントしたアイテムの1つである直径約15センチメートルのリングも搭載されたという。
上級副社長のブロストは「当社は新しいロケットを開発しただけでなく、まったく新しい製造プラットフォームも開発した。ロケットの大部分はそれを使ってつくっている」と述べている。
(forbes.com 原文)