このプログラムは、単にアーティストたちに、ホテル宿泊客の前で演奏してもらうだけではない。むしろ、すでに定評のあるアーティストと、新進のパフォーマーを組み合わせる点が特徴だ。「センターステージ」プログラムでは、1000時間分のスタジオ利用、1000時間分のスイート利用、メンター、エンジニア、専門家が提供される。
アビー・ロード・スタジオのゼネラルマネージャーを務めるジェレミー・ハッフルマンは、こう述べている。「(このプログラムは、)より広く網を広げ、他の基盤を持たないかもしれない世界中の新進アーティストを育成する上で、極めて重要だと確信しています。そうしたアーティストたちが、キャリアの階段を上るのを支援し、才能を世に示すチャンスを提供できるはずです」
もちろん、ホテル側にもメリットはある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック以降、ホテルのサロン化が加速している。「他とは違う何か」を求める客にアピールできる文化的体験を多層化することで、うまく活用しようとしているのだ。
それに、ビューフォートバーでのイベントは刺激的なものだった。これは、演奏者と場の双方に起因している。由緒あるビューフォートバーが、あれほど声を出すオーディエンスを迎え入れたことは、おそらくいまだかつてなかっただろう。
フェアモントのグローバル・ブランド・リーダーを務めるマンシ・ヴァットは、次のように述べている。「(ホテルの)ゲストには、旅行からもっと楽しみを得たいと期待する権利があり、それがセンターステージの一部となっています。ただ、核心の部分ではこれは、コミュニティ内にいる地元の才能ある人たちを育成し、それぞれのアートを世に示す場所を提供する試みです。そして、忘れてはいけないのは、要するに、ホテルが楽しさを得られる場所になることです。私たちはエンターテインメントを求め、アーティストは音楽を奏でる場所を求めています。ですから、これは完璧な組み合わせだと言えるのです」
(forbes.com 原文)