「運頼みと楽観主義は違う」神経科学からみたオプティミストとは?

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あなたは楽観主義者(オプティミスト)だろうか?

もしそうでないなら、そうなりたいだろうか?

そして、楽観主義とは「どんなときも(しばしば意図的に)前向きであること」と、どう違うのだろうか?

30年以上にわたってリーダーを指導してきた筆者の経験からは、楽観主義とは次のような在り方だ。

・自分の考えや行動に全責任を持つ
・自分がうまくできなかったところに気づき、次回は改善するための対策をとる
・人生のあらゆる状況をコントロールすることはできないし、自力で結果を変えるには限度があるとしても、自分は自分をコントロールしていると感じている

逆に、次のようなあり方は楽観主義ではない。

・運頼みであること。その背景には「良いこと」は、自分ではコントロールできない要因によって起きているという信念がある(なお、自分は幸運な人間だと考えている楽観主義者は多いだろうが、一方で、彼らはしばしば「自分は自分で運を切り開いている」とも考えている)

両者に共通することは何だろうか。どちらも、それが良いストーリーであれ、悪いストーリーであれ「自分自身に向けて語るストーリー」を信じている。また、どちらも、物事への反応に一定のパターンがある。そしてそのような反応パターンがあることで、やがて、その人が事態にどう反応するかが予測できるようになる。そして、もうおわかりだろうが、私たちが物事にどのような反応を示すかは、私たちが自身や他者に向けて語るストーリーに沿っているのだ。

みなさんは、自分自身にどんなストーリーを語っているだろうか。とりわけ重要なのは、困難なときに自分自身に語りかけるストーリーだ。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行がピークだった時期に、自分自身にどのようなストーリーを語っていただろうか。

楽観主義とはどのような在り方か

これを書いている現在、自宅のガレージでは、新しいドアを取りつけてもらっているところだ。4カ月も待っていたのでとても喜ばしい日だ。しかし同時に、この日(そしてこの週)は、筆者の住む地域に豪雨の予報が出ている。しかも作業員から、指定されたモーターが間違っていたので、新しいガレージドアは手動で開け閉めしなければならないと知らされた(そう、土砂降りの中でもクルマから降りてドアを上げ下げすることになる)。

こんな場合の楽観的な反応とは何だろう?

あるいは、悲観的な反応とは?

楽観的な人は、こういうだろう。「まあ、あまり有名でない会社の安いサービスを選ぶのは、リスクかもしれないとは思っていた。入荷したら、すぐ正しいモーターにつけ替えよう」

悲観的な人は、こういうだろう。「この会社はロクでもない。おかげで大失敗だ」

それぞれの反応を見て、みなさんはどう感じるだろうか。
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翻訳=高橋朋子/ガリレオ

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