宇宙

2023.03.26

小学生も参加する実用衛星プロジェクト「e-kagakuジュニア衛星」がクラファンを開始

e-kagaku国際科学教育協会公式ホームページより

「スポーツやピアノと同様に、大人が使う本物の道具と本物のスキルを使ったSTEAM教育を、小学生からどこでも行う」ことをコンセプトに活動する一般財団法人e-kagaku国際科学教育協会は、衛星開発未経験の小学生から大学生約40人が参加する人工衛星プロジェクトを立ち上げました。単に衛星を打ち上げるだけなら、これまでも学生プロジェクトは数多くありましたが、こちらは宇宙旅行ビジネスに向けた低軌道での宇宙ゴミのデータ収集を目指す「本物」です。このプロジェクトが、衛星製作と打ち上げのためのクラウドファンディングを始めました。

2020年、この「e-kagakuジュニア衛星」はスタートしました。参加者はコンテストでの実績を持つ小学生から大学生約40人ですが、全員が衛星開発の経験はゼロでした。そこから勉強を始め、英語の国際電波法の本を読んで国際電波使用申請も自分たちでクリアするなど努力を重ねた末、2022年12月に、打ち上げる実機と同じ仕様の試作機「エンジニアリングモデル」を完成させました。今年の秋までには実際に宇宙に打ち上げる実機「フライトモデル」を完成させ、JAXAの安全審査を受けます。2024年に国際宇宙ステーションからの放出を予定しています。

この衛星には、JAXAが開発した衛星レーザー測距用の超小型反射器「mini-Mt.FUJI」が搭載されます。地上から発射したレーザーを反射させることで、衛星との距離をミリ単位で測定できるというシステムです。これを使えば、宇宙デブリの精密な軌道解析が可能になり、民間人宇宙飛行に必要な宇宙保険の料率の設定など、「急成長する宇宙ビジネスに大きく寄与する」と同協会は話しています。つまりこれは、実用的な目的を持つ衛星であり、「超小型衛星に世界で初めてレーザー反射装置を搭載し、世界のレーザーサイトと協力して正確な軌道を求める」というJAXAとの共同プロジェクトなのです。

e-kagaku国際科学教育協会は、このプロジェクトは産業界と教育界が連携するICT人材育成の集大成であり、これを通じて「宇宙をジュニアたちの実践教育の場とできること」、「どこに住んでいても最先端のプロジェクトに参加できること」、「10年以内に実現する産業にいち早く取り組める人材を育成すること」、「ハードとソフトとデザインすべてを小学生から学べること」を証明したいと話しています。

クラウドファンディングはe-kagaku国際科学教育協会独自のファンディングサイトe-kagaku fundで実施中です。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

ForbesBrandVoice

人気記事