独ミュンヘンに本社を置くシーメンスにとって、米国の鉄道会社向け工場は2カ所目となる。同社の北米モビリティ部門CEOであるMarc Buncherは3月7日、新工場がノースカロライナ州レキシントンにある約80万平方メートルの敷地に建設され、2024年に開業する予定であることを明らかにした。
第1フェーズで500人を雇用し、まずは同社製客車「ベンチャー(Venture)」を年間100両生産する。カリフォルニア州サクラメントの工場では現在、全米鉄道旅客公社(アムトラック)や米国・カナダの通勤電車のほか、フロリダ州の高速鉄道「ブライトライン(Brightline)」向けに機関車と客車を製造している。
シーメンスのローランド・ブッシュCEOは、電話会議で次のように語った。「当社は、米国が交通システムをよりグリーンで持続可能なものに変革しようとしていることを認識しており、鉄道車両のキャパシティを向上するこのようなプロジェクトがその取り組みに影響を与えることを確信している」
米鉄道網の改善を目指すバイデン政権は、超党派のインフラ投資計画法の一環として、アムトラックや各地の通勤鉄道システムの改善に対する補助金として数十億ドルを確保している。同法には、ラスベガスとロサンゼルス近郊を結ぶ「ブライトライン・ウェスト」計画など、民間鉄道会社による高速鉄道プロジェクトを支援する資金も含まれている。
鉄道車両の製造でシーメンスと競合するフ仏アルストム(Alstom)も、ニューヨーク州ホーネルの工場で米市場向けに機関車と客車の生産を拡大している。同工場では、アムトラックの北東回廊向けに次世代車両「アセラ(Acela)」を製造している。
ノースカロライナ州のロイ・クーパー知事は「鉄道車両の需要は高まっており、シーメンスは新工場を使って東海岸全域の顧客にサービスを提供する計画だ。ノースカロライナ州でも旅客鉄道数は大幅に増加しており、われわれも購入を検討することになるだろう」と述べた。知事によると、シーメンスの新工場は、今後10年間で16億ドル(約2100億円)を同州にもたらす見通しという。
(forbes.com 原文)