筆者もその一人で、27年前から2型糖尿病を患っている。7年ほど前までは、血糖値のコントロールに苦労していた。インスリン治療を行うようになってからは、投与量を調整するために指先の穿刺(せんし)によって血糖値を測定することの重要性が増した。
先月、Apple Watch(アップルウォッチ)で血糖値測定ができるようになる可能性が報じられ、大きな話題を呼んだ。
ブルームバーグのマーク・ガーマン記者の記事によると、アップルは光パルスを用いて血糖値を正確に測定する方法を研究しているという。実現すれば同社にとって大きな成果だが、アップルウォッチに搭載できるほど小型化できるのかについて、筆者は懐疑的だ。
筆者はかなり前からこの技術について認識しており、試作品を開発したフォトニクス(光工学)企業を視察したこともある。ただ、この試作品は大型のデバイスであり、ウェアラブルに搭載できるようになるのは、まだ何年も先のことかもしれない。
一方で、血糖値の持続的なモニタリングは、糖尿病患者の命を救うことになる。筆者は、持続血糖値測定(CGM)システム「Dexcom G5」を2年間使用し、2018年からは新製品の「Dexcom G6」に乗り換えた。CGMを使用するようになってからは、糖尿病ケアにおいて重要な指標であるA1Cを6.5未満、もしくは安全な範囲に保つことができた。
筆者は、これまでにDexcomのケビン・セイヤーCEOに何度もインタビューする機会に恵まれた。今年1月にサンフランシスコで話した際、彼はCGMの最新モデルである「Dexcom G7」を近くリリースすると言っていた。
2月に行われた米プロフットボールNFLの王者決定戦「スーパーボウル」では、人気バンド「ジョナス・ブラザーズ」のニック・ジョナスがG7を紹介するCMが放映され、数百万人が視聴した。筆者は最近、医師からG7を処方してもらって使用を始めたが、G6より小型で使いやすく、精度も向上している。
G6とG7は、iOSとAndroidに対応している。血糖値を積極的にモニタリングできることは、従来に比べて非常に大きな変化だ。最近、米ガーミン製のウェアラブルにもDexcomのCGMモニタリング機能が追加された。
これまでiOSとAndroidのCGMをうらやましく思っていた糖尿病のガーミンユーザーにとって、これは大きなニュースだ。これにより、ガーミンのデバイスはiOSとAndroidのウェアラブルと同等の機能を持つことになる。
1型と2型の糖尿病患者にとってのCGMの重要性は、いくら強調してもしきれない。筆者は、CGMによって血糖値を正常に保ち、合併症を抑え、健康な状態を維持できている。