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2023.03.24

企業が悩む海外進出と人材雇用 国境をまたぐ起業家の答え

Deel共同創業者兼CEOのアレックス・ブアジズ

2023年、世界はどのように変わっていくのか。コロナ禍は沈静化に向かうも、地政学的不安は増し、経済はリッセッションの文字がちらつく。Forbes JAPAN2月号では、日本、そして世界で活躍するさまざまな業界のNo.1「36人」に「100の質問」を投げかけた。国際情勢、テクノロジー、ビジネス、金融など100の答えが今年の100の変化を示す。

海外に商機を求めたい、優秀な人材を雇いたい──。そう考えるスタートアップや中小企業の経営者は少なくないだろう。国境をまたいで活躍してきた2人の起業家がたどり着いた解決策とは。


「海外に自社製品のニーズがあるので現地法人を立ち上げたい」「海外の有能な人材を雇いたい」。だが、リソースやノウハウが足りないー。

起業家や中小企業の経営者からこうした声をよく聞く。

リモートワークの普及で、世界的に人材を巡る競争が激化する中、注目を集めているスタートアップがある。2019年創業のスタートアップ「Deel(ディール)」である。同社は、「EOR(従業員の代替雇用)」を看板に、グローバル人材をリモート活用する企業の労務管理SaaSを提供している。

「優秀なのに世界的な企業で働けていない人たちを目の当たりにし、問題を解決したいと考えた」と語るのは、同社の共同創業者兼CEOのアレックス・ブアジズ(写真)だ。仏生まれの彼はイスラエルや米国で教育を受けている。

一緒に会社を立ち上げた共同創業者でCRO(最高収益責任者)のシュオ・ワンは中国で生まれ、米MITメディアラボでロボティックスを研究するなど、創業者たちは国境をまたいで活躍してきた。

海外で現法設立や雇用をする際、給与と経費の精算、国ごとの税制や社会保障制度への対応など、すべきことが多い。だがディールのプラットフォームを使えば、現法を設立することなく、従業員雇用や業務委託契約を数分で実現し、200種類の通貨での給与支払いもワンクリックで完了できる。EORのような人事サービスを使うことで、働く側も雇う側も、ビジネスのダイナミズムが変わってくるのだ。

「国籍に関係なく、人は働きたいところで働けるようになるでしょう。海外で働くのが当たり前になるのは時間の問題です」(ブアジズ)


アレックス・ブアジズ◎Deel共同創業者兼CEO。2019年にシュオ・ワンと同社を立ち上げる。史上最速で“ユニコーン”に成長して話題に。1万社以上の顧客を抱える(22年現在)。

文 = 井関庸介 / フォーブス ジャパン編集部 写真提供 = ディール

この記事は 「Forbes JAPAN No.102 2023年2月号(2022/12/23発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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