アフリカと中国で同時に発見されたこの彗星「C/2023 A3(Tsuchinshan-ATLAS)」については、2024年10月に地球に最接近すること以外はほとんどわかっていない。
どれくらいの明るさになる?
C/2023 A3は金星と同じくらい明るくなるかもしれないため、待つ価値がある。これは驚くべき明るさであり、2月のC/2022 E3や2020年夏の彗星「NEOWISE」をはるかに上回る。現在、地球と太陽の距離の7倍以上離れ、火星と木星の間くらいに位置しているC/2023 A3は、2024年9月28日に太陽の最も近く(具体的には水星の軌道の内側で、それが高光度が予測される理由だ)を通過し、同年10月12日に地球に最接近する見込みだ。
一番明るくなるのはいつ?
前方散乱と呼ばれる現象によって、C/2023 A3は10月中旬にマイナス5等級まで明るくなり、北半球の西の空に見える可能性がある。しかし、地球と太陽の間を通過することから、見えるのは2024年9月から10月中旬の日の出と日の入りの前後に限られるだろう。北半球に住む人は、2024年10月中旬まで待って、彗星が太陽の光から逃れて見えるようになる日没後に金星周辺をさがせば、C/2023 A3を見れることだろう。
肉眼で見える彗星の予測が難しい理由
彗星の将来の明るさ予測は難しいことが知られている。C/2023 A3は現在、非常に遠くに位置しており、観測が困難だ。明るくなるためには、まず太陽の近くに無事到達する必要がある。さらに、大きな核とダストテイル(ちりの尾)を有する必要があるが、現時点でそれを判断することは不可能だ。こうした条件がそろえば、C/2023 A3は素晴らしい光景を見せてくれる可能性がある。2024年10月中旬に国際星空保護区の一つ、またはその近くに行く計画を立てるのはいかがだろうか。
C/2023 A3も「石器時代」の彗星
2月の「緑の彗星」ことC/2022 E3については、軌道周期が5万5000年だということが大きな話題になった。これは科学的には特筆すべき長さではないものの、「ネアンデルタール彗星」や「石器時代彗星」といったニックネームがつけられた。C/2023 A3の周期は8万年余りと考えられている。C/2023 A3はどこから来たのか?
C/2023 A3やC/2022 E3のような長周期彗星は、太陽系の外側に球状に分布している天体群「オールトの雲」が起源だと考えられている。名前の由来は?
C/2023 A3(Tsuchinshan-ATLAS)という名前は、2023年2月22日に中国の紫金山(Tsuchinshan)天文台と南アフリカの小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡により発見されたことから付けられた。(forbes.com 原文)