SASの長距離路線網は過去数年の混乱からまだ回復途上にある。破産保護のもとで深刻な財政難に直面しているSASにとって、東京路線の復活は再興に向け重要な一歩となる。
SASは2024年の黒字化を目指しており、東京路線の再開はこの夏に同社が掲げる数多くの目標のうちの1つだ。
コペンハーゲンから羽田へ
ただし、パンデミック前の運航からいくつかの変更がある。6月再開の定期便はコペンハーゲンから成田空港ではなく羽田空港に飛ぶ。羽田は東京都心にかなり近く、東京の広範囲をカバーする鉄道網につながっているため、多くの旅行者はこれを改善点とみるはずだ。羽田にはSASと同じくスターアライアンス加盟の中国国際航空、全日本空輸、アシアナ航空が乗り入れている。
一方で、運航本数は予定されていた週7便ではなく週3便だ。ロシア上空の空域問題のために飛行時間は約14時間へと延びる。
コペンハーゲンー羽田便の運航はスカンジナビア地域とアジア地域のスムーズな接続の再開に役立つが、この地域間のSASの運航客席数は英航空ニュースサイトSimple Flying(シンプルフライイング)によるとパンデミック前の水準のわずか22%にとどまっている。
エアバスA350を使用するコペンハーゲンー羽田便は、水曜、金曜、日曜の午前11時20分にコペンハーゲンを出発し、翌日の午前7時55分に羽田に到着する。羽田発は午前11時45分で、コペンハーゲンに午後6時40分に到着する。
SASは通常、エアバスA350を300席で運航しており、そのうちビジネスクラスは1-2-1配列の40席、プレミアムエコノミーは2-3-2配列の32席だ。
エコノミークラスの228席は3-3-3配列で、米旅行ウェブサイトのThe Points Guy(ザ・ポインツ・ガイ)では、スリムなデザインながらエコノミーとしては「平均以上」の座席と評価している。
復活を目指すSASの新路線
スカンジナビア半島と日本を結ぶ主要路線の復活は北欧と日本のビジネスや観光を後押しするものだが、SASは単に古い路線を復活させるだけではない。SASは新しいエアバスA321LRを米ニューアークとスウェーデンのヨーテボリ、デンマークのオールボーをつなぐ新路線に投入し、点と点を結ぶ長距離路線モデルへとシフトしている。
SASは以前、スカンジナビア半島および欧州を離発着する20の新しい路線を発表した。今回、10路線を追加し、スペインのアリカンテ、マラガ、マヨルカ、イタリアのフィレンツェ、ナポリ、シチリア、クロアチアのスプリットなどレジャー需要の多い人気路線で便数を増やすことを明らかにした。
同社の路線および収益管理担当EVP(エグゼクティブ・バイス・プレジデント)のエリク・ウェストマンは「旅行需要が増大し続けていることを実感している」と語っている。
(forbes.com 原文)