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2023.03.26

中国発VC「ゴビパートナーズ」が狙うアジアの爆発的成長力

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2016年から香港でのプロジェクトに関わり始めたタンは当初、年間6~8件のディールを行い、その当時約1900社のスタートアップが存在した香港での会社の存在感を高めていった。彼の最も重要な投資先の1社が、2021年11月に評価額が55億ドルに達した香港のフィンテック企業のAirwallexだ。ゴビパートナーズは、2015年の同社の創業から1年後に初期投資家として参入し、その後の成長を後押ししてきた。

ゴビパートナーズの支援先には、数多くのゼロからビジネスを立ち上げた起業家が含まれている。その一例としてタンが挙げたのが、スニーカーに特化したEコマースサイトKicks Crewの創業者のジョニー・マックだ。香港の公営住宅で育った彼は、10代の頃から限定モデルのスニーカーを手に入れるため、朝から店に並びんでいたスニーカーマニアで、その後、自身でビジネスを立ち上げて事業を拡大した。

タンは「香港には、君のような起業家がもっと必要なんだ」とマックに話し、2022年にKicks Crewが600万ドルを調達したシリーズAラウンドを主導した。

タンは、今後もフィンテックとAIが起業家にとって「最大のチャンス」であり続け、国境を越えたEコマースの成長も期待できると述べている。また、中国の習近平国家主席が2060年までにカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げていることから、サステナビリティとクリーンエネルギー分野の企業にも注目している。

ゴビパートナーズは、香港を拠点とする垂直農法のスタートアップのFarm66や、代替肉のGood Food Technologiesなどの企業も支援しいる。

世界中を旅してきたタンは今、ようやく自分の居場所ができたと感じている。「私の原動力は、すばらしい人々に出会い、彼らの旅の一部となることです」と彼はいう。「ベンチャーキャピタリストというのは、おそらく私にとって最高のポジションなのです」とタンは語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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