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2023.03.21 09:00

合成麻薬をドローンで運ぶ犯罪者集団を米警察がハイテク捜査で摘発

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ニューヨーク州ルイストンは、カナダのオンタリオ州の東に位置する、ナイアガラ川沿いの小さな町だ。この町に建つ、ある広々とした住宅に住人の気配がないことを、近隣の人々は不審に思っていたという。

65万ドル(約8800万円)とされるこの家の所有者は庭の手入れをせず、芝は管理不能なほど伸びていたと地元住民は警察に語っている。さらに奇妙なことに、毎月高級車に乗ってこの家を訪れる人がおり、数日滞在しては帰っていったという。

最近公開された捜査令状をフォーブスが入手したところ、昨年9月21日未明に、警察がこの住宅を家宅捜索したことがわかった。それによると、国境警備隊はドローンのサインを認識して飛行経路をマッピングし、GPSで出発点と停止点を特定できる監視ツールを用いて、真夜中にナイアガラ川の上空を飛行してこの家の庭に侵入するドローンを検知したという。

警察が現地に到着したとき、ドローンの操縦者に加え2名が逃亡を図ったが、警察は彼らを拘束し、尋問のために連行した。警察は、末端価格が約11万ドル(約1430万円)の合成麻薬MDMAの入った袋がドローンに取り付けられているのを発見した。

警察は、その後の家宅捜索で家の出入り口を監視する複数のウェブカメラや、複数台の商用ドローン、パラコード(パラシュートを吊るすために作られた上部なロープ)を押収した。

この事件は、米政府が特に国境でのドローン監視を重視していることを明らかにするものだ。「国境警備隊によるドローン監視は非常に優れている」と、多くの政府機関にドローン探知機を提供する「Dedrone」のチーフ・マーケティング・オフィサーであるメアリー・ルー・スマルダーズ(Mary-Lou Smulders)は話す。

スマルダーズは、ナイアガラ川での捜査で警察は無線周波数識別タグを使ってドローンを追跡したと推測している。特定の範囲内にセンサーを設置し、ドローンの信号を三角測量することで、比較的正確な位置を特定することができる。ドローンの追跡には、他にもレーダーを用いたり、複数のマイクを使ってドローンの音から測位する方法がある。

これらのハイテクツールは、違法な目的のためのドローン使用を検知できるが、最終的に犯罪行為を立証するためには、警察による昔ながらの捜査が必要になる。今回の容疑者の1人は、ロングアイランドのネイルサロンに勤務していると供述している。
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編集=上田裕資

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