空港警察が、セキュリティチェックの対象者をランダムに選んでいると思っている人は、考えを改めた方がよいだろう。思いつきで休暇を取ったり、急な出張をする人は、当局から目をつけられやすい。新たに公開された裁判文書によると、フライトを直前予約したり、米国を出国してから2日以内に帰国する人は、荷物の検査や尋問の対象に選ばれる可能性が高いという。
2023年1月に麻薬取締局(DEA)の捜査官が提出した現金差押えの令状には、ミネアポリス・セントポール国際空港でのセキュリティチェック対象者の選定方法が詳細に記されている。それによると、DEAと空港警察は、航空券を直前に購入したり、目的地から同日、または翌日に戻るといった旅程の乗客を探すことが多いという。これらの行動は、麻薬取引に関与している人に多く見られるというのがその理由だ。
フォーブスは以前、連邦政府がさまざまな方法で人々の渡航歴にアクセスしていることを報じたが、今回公開された令状によって、政府がトラッキング結果をどのようなかたちで監視に活かしているのかが明らかになった。他にも、米国境ではプライバシーが遵守されておらず、個人の動向や情報の調査がほとんど監督されることなく行われ、電子機器が令状なしに押収される可能性があることが浮き彫りになった。
「当局は、監視は空港を守るために必要だと説明し、監視活動は長年チェックを受けることなく拡大してきた。しかし、このような取組みは、当局が調査したいと考える人のほぼすべてをターゲットにすることを可能にする」と、監視技術監視プロジェクト(Surveillance Technology Oversight Project)のエグゼクティブディレクターであるアルバート・フォックス=カーンは話す。
旅行データベースを用いた監視
この2年間、フォーブスと「報道の自由のための記者委員会(Reporters Committee for Freedom of the Press)」は、旅行者の監視の透明性を高めるために連邦政府を相手に裁判を起こし「グローバル・ディストリビューション・システム(GDS)」の提供会社を通じた監視対象者への監視に関する文書の開示を求めてきた。GDSとは、旅行予約をシームレスにするために、航空会社やクルーズ会社、レンタカー会社、ホテルなどがアクセスできる膨大な旅行情報のデータベースだ。GDSは、政府にとって特定の人物の行動を監視するのに有効なツールなのだ。
FOLLOW US
Forbes JAPANの最新のニュースをお届けします
続きを読むには、会員登録(無料)が必要です
無料会員に登録すると、すべての記事が読み放題。
著者フォローなど便利な機能、限定プレゼントのご案内も!
会員の方はログイン