SHEINの事業モデルから、世界が学ぶべきこと

SHEIN公式サイトの画面

事業拡大計画

Sheinは2023年以降、顧客層をさらに拡大するために、新たな事業計画を発表しています。

新ブランドの継続的なインキュベーションによる拡大したビジネスマトリックスの形成

Sheinは、新規ブランドのインキュベーションを継続的に行い、拡張的なビジネスマトリックスを形成しています。

2022年10月には、自信、包括性、快適性に重点を置いた、下着販売プラットフォーム「Luvlette」を立ち上げ、下着の品揃えを拡大させました。

また、2022年には、高級ファッションブランドMOTF(旧称Shein Premium)のマーケティングを強化し、プレミアムブランド向けの独立したウェブサイトを立ち上げ、世界中の高級アパレル消費者がアクセスしやすくなるプラットフォームの開設を発表しています。このことは、同社のブランドイメージが低価格に根ざしているにもかかわらず、より高価な製品への多角化を目指していることを示唆しています。

また、LuvletteとMOTFの他に、Cuccoo、Dazy、Glowmode、Jmmo、Luvlette、Petsin、Romwe、SHEGLAM、Sheinの8つのブランドを所有しており、アパレル、フットウェア、アクセサリー、美容、ペット用品をカバーしています。

さらには、世界的な投資会社であるClaure GroupのCEOであるMarcelo Claure 氏を2023年1月にSheinランアメリカの会長に迎えたことは、ブラジルやメキシコを中心とする同地域での事業の多角化と成長を目指す上での、正しい一歩であると思われます。

同氏は、ラテンアメリカにおけるSheinの戦略やステークホルダーとの関係を監督するとともに、ラテンアメリカに拠点を置く企業や同地域への進出を検討している企業に対する今後の戦略的投資として1億ドルを投じることを発表しています。

2022年10月に下着通販プラットフォームのLuvletteを開始
出典:Luvlette

Eコマースマーケットプレイスモデルの実証実験

化粧品、家庭用品、ペット用品への水平展開により、SheinがグローバルなEコマースマーケットプレイス領域に乗り出す兆しが見えてきています。

2022年11月には、ブラジルでECプラットフォームモデルのテストを開始し、サードパーティブランドは同社のアプリを通じて製品が販売できるようになりました。このモデルでは、サードパーティブランドは独自の物流を管理する必要があり、小売の全工程を管理するSheinの以前のモデルとは異なります。

そのことで、自社開発に頼るよりも早く、商品カテゴリーを超えたスケールアップと収益源の多様化を実現することができるとみられています。

また、2022年11月には、マレーシアの大手Eコマース企業Lazadaの元共同社長であるJessica Liu氏をグローバルブランド事業担当副社長に任命し、マーケットプレイスの提供を拡大する意向を改めて表明しています。Liu氏はこれまで、Amazonチャイナで20年近く勤務した後、アリババのTmallプラットフォームに勤務した経歴があります。

Sheinはこの就任に際し、「Liu氏は、グローバル市場におけるEコマース分野の豊富な経験を持っており、彼女がSheinの成長ストーリーに加わることを楽しみにしています」と述べています。

Sheinブラジルのマーケットプレイス
出典:企業ホームページ

配送能力強化のため、新たな配送センターを開設

Sheinは、中国から直接注文を受けた製品を出荷する方式から、米国とカナダに物流センターを開設し、より早く北米に製品を届けることが重要であることを認識しつつあります。

同社は2022年11月に、トロントに17万平方メートルのオフィスと物流施設を開設しました。この新施設を通じてカナダの消費者への配送時間を短縮し、国際配送数を減らすことを目指します。
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文=RxR Innovation Initiative

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