夜と昼の長さが同じになる現象は両方の半球で起きる。これがequinox(分点。ラテン語でequiが等しい、noxが夜の意味)だ。
春分は9月の秋分、6月の夏至、12月の冬至とともに、数千年前から人類が祝福してきた現象だ。
古代の人々は、いつ分点なのかどうやって知ったのだろうか? 日の出と日の入りの方角は年中変化している。年間のパターンを見ると、夏には日の出と日の入りの方角が北に近づき、冬には南に近づいていく。分点の日に限り、太陽は真東から昇り、真西に沈み、注目すべき現象を生み出す。分点の前、ある方向に動いていた影は、分点の後、逆方向に動く。景色を横切る光は潮汐のように変化する。
分点(春分の日、秋分の日)の日の出に起きる太陽との整列を、世界で最も有名かつ最も愛されている古代遺跡のいくつか(聞いたことがないものもあるだろう)に行って肉眼で見ることができる。
日の出/日の入りに地球と太陽が整列するところを見るべき場所を以下に紹介しよう。そこでは、今よりはるかに注意深く夜空を観察していた古代の文化を垣間見ることができるだろう。
アンコールワット(カンボジア)
毎年3月の春分と9月の秋分に、12世紀カンボジアの寺院群を臨む5つの尖塔の中心をなす巨大な塔の真上に日が昇る。落とされた影は西の入り口となる土手道と正確に整列する。観光客は土手道に立つと最高の効果が見られる。アンコールワットはその全体が正確に東西を向いている。チャコ・キャニオン(ニューメキシコ州)
ニューメキシコ州北西部、アルバカーキとファーミントンの間にある孤立した渓谷の中に、チャコ文化国立歴史公園はあり、紀元850年に遡る古代プエブロ文化の建造物を保護している。数ある天文学的整列の1つである分点に、同公園で最も貴重なキバ(式典場)であるカーサ・リンコナーダの壁龕(へきがん、ニッチ)を太陽光が通過する。公園には、三日月と超新星と日食を表していると一部の人たちが考えているペトログリフ(岩面彫刻)もある。ギザのスフィンクスとピラミッド(エジプト)
エジプトで最も有名な遺跡であるピラミッドは、恒星や基本方位と方向が一致している。有名なスフィンクスはカフラー王のピラミッドの東に座って毎日日の出を見ている。分点の日没には、太陽がスフィンクスの肩に沈み、その後ピラミッドの南側の斜面に沈んでいくように見える。チチェン・イッツァ(メキシコ)
カタン半島を訪れる観光客に人気の目的地。この紀元1000年頃のマヤ建造物遺跡では、分点をテーマにしたツアーに参加できる。羽の生えたヘビ、ククルカンを祀ったピラミッドは基本方位を向いており、分点の日の出には、ヘビに似た三角形の影が7つ、ピラミッドの段を降りてくるように見える。この「ククルカンの降臨」は大変人気がある。カサ・グランデ(アリゾナ)
アリゾナ州フェニックスから南東へ少し行ったところにあるカサ・グランデは、古代ソノラ砂漠の農村の遺跡で、村の中心地だったと考えられている。分点には、昇る朝日がカサ・グランデ最上階にある2つの開口と整列する。パレンケ(メキシコ)
パレンケは、メキシコ南部にある8世紀に遡るマヤ文明の都市遺跡だ。分点の日には、太陽光がその名もふさわしい太陽の神殿(Temple of the Sun)に溢れ、後ろの壁に一条の光を映し出す。(forbes.com 原文)