経済

2023.03.17

金融不安で米銀が1週間で22兆円借り入れ、リーマン危機以上に

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米連邦準備理事会(FRB)は3月16日、シリコンバレー銀行(SVB)の破綻後に米国の銀行からの資金借り入れが急増し、15日時点で総額1648億ドル(約22兆円)に達したと発表した。背景には、相次ぐ米銀の破綻で金融市場が動揺し、流動性への懸念が高まったことが指摘されている。借入額は、2008年の金融危機(リーマンショック)の際に記録した額を上回った。

FRBは金融機関が資金繰りに行き詰まることを避けるための安全弁として、銀行に最長90日間の融資を提供している。米銀はこの窓口を利用して、1528億5000万ドルを借り入れたという。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、この額が前週の45億8000万ドルから劇的に増加したと報じている。

ブルームバーグがFRBのデータを分析したところ、この借入額は2008年に記録した1週間の最高額の1110億ドルを大幅に上回っている。米銀はまた、FRBがSVBの破綻を受けて新設した「銀行タームファンディングプログラム(BTFP)」と呼ばれる緊急融資枠からも119億ドルを借り入れた。

FRBは、融資を受けた銀行を特定していない。バイデン大統領は今週「米国人は銀行システムが安全であることに自信を持つことができる」と主張した。

米国の大手銀行は厳しく規制され、膨大な数の口座を管理しているが、SVBのような地方銀行は残高の多い一部の口座に頼ることが多く、金融不安が起きた際に脆弱だとされている。

10日のSVBの破綻を受けて、金融業界では、特に知名度の低い地方銀行の間で動揺が広がっている。ニューヨークを拠点とするシグネチャー・バンクも12日に破綻し、地方銀行の株価は最近、ほぼ全面的に暴落した。

サンフランシスコを拠点とするファースト・リパブリック銀行も危機的状況に直面したが、16日にJPモルガンやバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴらが総額約300億ドルの支援を行い、破綻を回避させた。FRBのパウエル議長はこの動きを歓迎した。

ファースト・リパブリックの株価は16日に約10%上昇し、34.27ドルで取引を終えたが、今月初めの株価からは75%以上下落したままになっている。

SVBの株主は13日に、同銀行とその元幹部らを相手取った集団訴訟を起こし、SVBが金利の上昇を懸念する必要はないとする声明を発表し「株価を人為的に釣り上げた」と主張した。WSJによると、SVBはその破綻に関する司法省と米証券取引委員会(SEC)からの調査にも直面している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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