JCLの強みは、東京オリンピック以降、UCIと信頼関係を作れていることだと思っています。全自転車競技の責任者を務め、かなり深い関係で仕事をしましたから。
国内の既存UCIレースとタイアップするだけでなく、JCLも国内レースをUCIレースに昇格させて、選手たちに海外チームと戦う機会、UCIポイント獲得の機会をもっと提供していきたいと計画しています。また、ツール・ド・九州のように、日本でも素晴らしいUCIレースが企画されていますので、それらが個別に開催されるのではなく、日本のUCIレースをまとめるシステムもあった方がいいと考えています。
もちろん、世界を見習うだけでなく、日本独自の在り方や価値観も発信していきたい。そして、地域社会の盛り上げにもつなげていく考えです。
困難な挑戦のライバルは自分。信じる力でファンの皆さんと夢を叶えたい
世界や社会的な挑戦をしていると、事情をよく知る方にほど「そんなの絶対できない!」と言われることがあります。JCLの立ち上げ時には、「負け戦だ」「お金だけもらって逃げた方がいい」などと散々に言われました。JCL TEAM UKYOがサウジツアーやツアー・オブ・オマーンに出場した時にも、「UCIポイント獲得なんて100%無理」「映像に映ることもないでしょうね」と辛口批評をいただきました。
僕の好きな歌で、こんなフレーズがあります。
“いつだって物語の主人公は笑われる方だ 人を笑う方じゃないと僕は思うんだよ”(SEKAI NO OWARI『サザンカ』 作詞:Fukase & Saori)
僕もF1レーサーになるまで色々言われたものです(笑)。
難易度が高いことは誰だってわかっています。でも、そんな時に信じてくれた仲間とはいい仕事ができていますし、できないと言ってしまったら、絶対に実現しませんよね。できるかどうかは、どれだけ強く信じられるか...。ライバルは、結局自分です。
JCLは、僕が個人資金で立ち上げた組織です。ただ、多くの方々にサポートいただき、公器としての役割が求められていることを理解しています。
競技だけでなく、社会にも貢献していかなければなりません。自転車業界外からも、「できるぞ!」「次は何を見せてくれる?」と声援をいただいています。
応援してくださるすべての方々と一緒に、夢を叶えていきたい。平坦な道のりでは決してありませんが、皆さんに感謝して、全力を尽くして突き進んでいきます。
連載:片山右京の “Road to Tour de France”