ビジネス

2023.03.18 10:00

スタバの新作「オリーブオイル入りコーヒー」と、同社労組をめぐる騒動

オリアートシリーズには、オーツミルクとオリーブオイルを使った「オリアート・カフェラテ」、ヘーゼルナッツの風味とオリーブオイルが加わったオーツミルクの「オリアート・アイス・シェイクン・エスプレッソ」、「オリアート・ゴールデンフォーム・コールドブリュー」などがある。

イタリアでは、他国に先駆けて2月から提供されている。春にはカリフォルニア州南部、英国、中東、日本でも提供する予定だ。同社のエグゼクティブ・バイス・プレジデントで最高マーケティング責任者(CMO)を務めるブレイディ・ブリューワーはCNNの取材に対し、「コーヒーとオリーブオイルを組み合わせたらどんな味がするのかと、きっと試してみたくなるはずだ」と自信を見せた。

これは驚きだ。22年も前からスターバックスで働いているCMOの言葉とは思えない。見事な実績を積み重ねてきた人物なのだろうが、消費者、とりわけコーヒー好きは愚かではない。2020年2月と比べてコーヒーの値段が2倍に跳ね上がっていることを考えれば、試してみたいという理由だけでスターバックスに人が押し寄せることなどありえない。ウソだと思うなら、ブレットプルーフ・コーヒーを考案したデイヴ・アスプリーに聞いてみてほしい。

シュルツは3回目のCEOに復帰した2022年3月に、これはあくまでも暫定的な就任であり、取締役会が2022年秋までに新たなCEOを選出する予定だと述べていた。2022年9月の発表によれば、シュルツはまもなく暫定CEOを退任し、4月にラクスマン・ナラシムハンが次期CEO兼取締役に就任するようだ。

シュルツはCEO復帰後、差別やハラスメント、労働組合の結成阻止を巡って、訴訟や従業員のストライキという問題に直面してきた。そうしたゴタゴタもあってか、オリーブオイル入りコーヒーを夢見ることで気を紛らわせたいのかもしれない。シュルツは2023年3月上旬、ひと月に及ぶ交渉の末に、米上院厚生教育労働年金委員会で3月29日に開かれる公聴会に出席し、労働法違反の疑いについて証言することに同意した。

シアトル・タイムズ紙によると、米国内のスターバックスでは、285店舗以上で労働組合が結成された。また、不当労働行為の告発が、同社に対して509件、スターバックス労働組合に対して102件寄せられているという。

ハワード・シュルツには、結局のところ、ブレットプルーフ(防弾)・コーヒーが必要なのかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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