これとは対照的に、農産物を生産する米国の農場では、投入原価のうち労働に関連するものは平均でわずか13%を占めるにすぎない。ただし園芸作物(野菜や果実、花き類などがここに分類される)の場合は、この割合は39%にまで上昇する。
米国科学工学統計センター(National Center for Science and Engineering Statistics、NCSES)は、2月21日に発表したリポートで「2020年に米国の民間企業で研究開発に関して行われた支出のうち、労働関連コストは3720億ドル(約49兆4400億円)に上る。これは、研究開発費の総額5380億ドル(約71兆5000億円)のうち3分の2を上回る数字だ」と述べている。
「2020年でみると、これらの労働関連費用のうち、3000億ドル(約39兆8700億円)が給与、賃金、各種手当に費やされている。さらに483億ドル(約6兆4200億円)が株式ベースの報酬、235億ドル(約3兆1230億円)が臨時雇用者の人件費だった」
「研究開発部門は、あらゆる業界を通じて優れたスキルを持ち、多くの場合は高度な教育を受けた働き手を頼りとする傾向が強い。ただし、全体の研究開発費に占める労働関連コストの割合については、BERD(企業研究開発調査)で追跡している業界の間でもまちまちだった」とリポートは記している。
最新データによると、情報セクターでは研究開発費の80%以上を労働関連コストが占めている。一方、製薬・製剤業界では、研究開発費に労働関連の出費が占める割合は56%だった。
民間企業の研究開発費は、2010年から2020年の間に、実質ベースで2790億ドル(約37兆800億円)から5380億ドルへと、63%増加した。同じ2010年から2020年の間に、研究開発費に占める労働関連コストの割合はそれほど大きく変わっていないが、株式ベースの報酬と結びついた研究開発費の割合は、2010年の3%から、2020年の9%へと増加している。
米国の大学では、電子工学、コンピュータおよび情報科学関連の研究を行うフルタイム大学院生に占める米国人の割合は約25~30%ほどにすぎない(電気工学で74%、コンピュータ・情報科学で72%、数学や材料科学を含む分野では50~70%が留学生)。つまり、米国以外で生まれた科学者やエンジニアの受け入れを拡大するような法制度は、企業や大学の研究ひいては米国経済に多大なメリットをもたらす可能性があるということだ。