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2023.03.20 10:30

米国企業の研究開発は農業よりも圧倒的に「労働集約的」

技術的なスキルを持つ移民を米国に受け入れることには大きな利点が見込めるにもかかわらず、チャールズ・グラスリー上院議員(共和党、アイオワ州)は「2022年CHIPS・科学法案(通称CHIPS法案)」に、重要な移民政策が含まれることを阻止した。

CHIPS法は2022年8月9日に成立したものの、外国人のうち科学・技術・工学・数学(STEM)分野で博士号を持つ者、および「重要な産業」に関する修士号を持つ者に対する年間のグリーンカード発行数制限の廃止、および申請の積滞解消に関する条文は、グラスリー議員の抵抗により盛り込まれなかった。

共和党の上院院内総務を務めるミッチ・マコーネル(ケンタッキー州選出)は、共和党議員の中でも上院司法委員会の有力メンバーであるグラスリー議員に、CHIPS法案内に記されたすべての移民政策に対する実質的な拒否権を与えた。両院協議会でも、グラスリー議員を止めるべく動いた共和党の上院議員はおらず、これにより、下院を通過していた高スキル外国人の受け入れに関する条項が葬り去られることとなった。

米国政策財団(NFAP)のシニアフェローで、労働問題を専門とするエコノミストのマーク・リゲッツは「研究開発がもたらすメリットは、これを実施している企業が負担するコストを上回るものだが、それだけでなく、米国全体で見るとそのメリットはさらに大きくなる」と指摘する。「新たな知識は、1つの企業の枠を超えて広がるし、新製品は、個人やそれを用いる他の企業にも恩恵を与えるからだ」

リゲッツはさらに、イノベーションを主導する米国の企業にとって、人材を獲得できる状態を維持することは必要不可欠だと述べた。「最高レベルの科学者やエンジニアを確保できる状態になければ、これらの研究の多くは実施不可能になるか、他国に流出してしまうだろう。国境を越えた知識の伝播が非常に容易になったとはいえ、研究開発が行われている場に近い場所にいることには、大きなメリットがある。シリコンバレーのような研究開発の集積地が形成されるのは、それが理由だ」

リゲッツは、科学研究で用いられる機器やツールが高度化するなかで、研究開発は資本集約的な性質を持つと考えられがちだが「しかし実際には、最も重要なのは人材なのだ」と述べた。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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