金星の表面で火山活動が起きていた証拠が初めて見つかった。
地球に最も近い金星は、火山活動の特徴があることでも知られているが、それは地質学的に若い地表が古代の火山活動によるものか、現在進行中の火山活動よるものかわかっていなかった。
新たな証拠が見つかったのは、1990年から1994年まで金星を周回し、金星の全表面の画像を初めて撮影したNASAの探査機マゼランのレーダー画像を人力で調査した結果だった。マゼランは1989年にスペースシャトルから打ち上げられた初めての惑星探査機だった。
一連の画像(もっと高解像度で撮れるようになったのは最近になってから)は、噴火している火山を暴くまでには至らないが、8カ月間にわたって形状を変えていた1マイル(約1.6km)四方の火口を写し出している。本研究は3月15日付でScienceに掲載された。
これは火口から噴出した溶岩流の証拠であり、金星で火山活動が進行中であることを明確に示していると研究チームは述べている。
火口は、周辺の平地から高さ3マイル(約4.8km)までそびえ立つ巨大な楯状火山であるマアト山系の一部だ。
金星の東経180度を中心とした半球図(NASA/JPL/USGS)
「金星で噴火が起きる頻度の推定はまだ不確かで、大きい噴火が1年に数回起きるというものから、噴火は数年あるいは数十年に一度というものまでさまざまです」とアラスカ大学フェアバンクス校地球物理学研究所のロバート・ヘリック教授はいう。「今、私たちは金星が火山活動中だということができます。それは、1年に少なくとも数回の爆発が起きるという意味です」
これは来るべき2つの金星探査計画である(ダヴィンチ・プラス)とVERITAS(ヴェリタス)にとってすばらしいニュースであり、いずれも、2028年から2030年の間に打ち上げられる予定だ。
DAVINCI+(Deep Atmosphere Venus Investigation of Noble Gas, Chemistry, and Imaging Plus、希ガス、化学物質、画像の金星大気深部の探査)は、金星の大気を分析することで、同惑星がどのように形成、進化したかを調べ、かつてそこに海があったのかどうかを究明しようとしている。
VERITAS(Venus Emissivity, Radio Science, InSAR, Topography, and Spectroscopy、金星の放射率・電波無線科学・干渉SAR・地形調査・分光法)は、マゼラン以来初めての金星表面研究を目的とした計画で、金星を周回しながら強力なレーダーシステムを使って邪魔をする雲を通して観察する。同計画では、レーダーを使って全金星3Dマップを作成し、近赤外分光計を使って表面の材質を調べ、金星の重力場を測定して惑星内部の構造を決定する。
「来るべき金星ミッションが、30年前に終了したマゼラン・ミッション以降に起きた新しい火山流を観測することを期待しています」とヘリックはいう。「2つの軌道ミッションが画像を集めている間に、何度か火山活動が起きるところが見られるはずです」
(forbes.com 原文)