海外

2023.03.17

イーロン・マスクも登場、スタンフォード大学「起業クラブ」の内側

スタンフォード大学 学生起業クラブASES共同代表のネイサン・ラムさん

なぜスタンフォード大学から優れた起業家が生まれるのか──。
 
本連載では、現地に1年間滞在し、スタートアップ・エコシステム調査を行う芦澤美智子が、その内部の実態を探りお届けしていきます。

今回は、スタンフォード大学にある起業クラブを取り上げます。学内にはいくつかの起業クラブが存在し、学生が主体となって起業家精神を醸成する取り組みを行なっています。そのなかでも最大規模の起業クラブの1つであるASES(Stanford’s Global Entrepreneurship Society: 通称エーセス) は、卒業生にAirbnbやDropboxなどに投資した名門「Yコンビネータ」のCEOギャリー・タン氏などが名を連ねています。

前半はASESの共同代表で、エンジニアリングスクール3年生のネイサン・ラムさん、後半はASESを経て大学を中退して事業を起こした起業家のアクシャヤ・ダナシュさんのインタビューを掲載しています。
 

新入生向けには10週間のブートキャンプ

──ASESについて教えてください

私たちは、1998年にスタンフォード大学で設立された団体です。現在、メーリングリストには1000人以上の学生が登録していて、このうち頻繁に活動している学生が約400人です。

メインは学部生で、在籍する学部はさまざまです。スタンフォードにはいくつか起業クラブがありますが、私たちのASES最も活発に活動している起業クラブです。

運営メンバーは、3年生が主体で、共同代表が2人、それに各プログラムのリーダー約20人です。

──ASESにはどのようなプログラムがあるのでしょうか

新入生向けのものとして10週間の「ブートキャンプ」があります。起業家精神やデザイン思考の基礎を学ぶプログラムで、4-5人ほどのグループでアイデアからプロダクトを作りをし、最終日にピッチを行います。

スタンフォードに来る学生の多くは起業に興味を持っていますが、具体的な起業の方法を知らないことがほとんどです。このプログラムの目的は、起業の一連の流れを体験してもらうことです。私も1年生の時に参加して、仲間とプロダクトを作ったのがとても楽しかったのを覚えています。

学生サミットにイーロン・マスク登場

ASES最大のイベントは、年1回開催するサミットです。世界20カ国以上から留学生を招き、1週間スタンフォードの学生たちと寝食を共にします。また、ゲストには、テスラのCEOイーロン・マスク氏やペイパルの創業者ピーター・ティール氏など、誰もが知る起業家を呼んでいます。

サミットを通して、留学生たちに文字通り、シリコンバレーを体験してもらうわけです。
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取材=尾川真一、芦澤美智子 文=尾川真一

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