こうしたトレンドに沿うように、弊社は10年間、産業現場で起きる様々な“睡眠課題”に特化して取り組み、延べ2万人以上のビジネスパーソンの睡眠改善をサポートしてきました。
そうした中で多くのビジネスパーソンから聞かれるのが、「どれくらいの睡眠が必要でしょうか?」という適正睡眠時間に関する質問です。
「眠り」ではなく「日中への影響」で考える
厚生労働省のeヘルスネットには、以下のような「年代ごとの睡眠時間」に関するグラフが掲載されています。このように平均値で見れば、年齢を重ねるごとに適正睡眠時間は短くなり、同時に深い睡眠もレム睡眠も短くなります。一方、適正な睡眠時間というのは人それぞれ異なりますので、重要なことは自分と他人の睡眠を比較しないことです。
適正睡眠時間については、「日中に眠気を感じない睡眠」がその人にとって最適な睡眠とされています。つまり、適正かどうかは、眠りから決まるものではなく、日中の仕事や生活への影響度合いで決まるというのが重要なポイントです。
睡眠は人それぞれであるという結果、稀に、1日3時間の睡眠でも日中のパフォーマンスが良いという“ショートスリーパー”が存在します。割合としては100人に一人ぐらいでしょうか。寝ないで済んだら……と、ショートスリーパーを目指す方がいますが、後天的になれるものではありません。無理して睡眠時間を削るなどは、危険な行為ですのでやめてください。
まずは現状の把握から
産業現場では、労働安全衛生法で年に一度の健康診断が定めされており、その際には、睡眠について1つの設問がされます。それは「睡眠で十分な休息をとれていますか?」というもので、その答えは、「はい・いいえ」の2択から選ぶことになっています。
従業員の方々が “十分な休息がとれている状態”を理解していない状況で、この設問に回答しても、実態を知るのは難しいでしょう。弊社が睡眠改善サポートしている企業に対して行う勉強会では、追加で以下3項目を聞くように提案しています。
1. 平日、昼間の眠気により集中力の低下や仕事に支障を感じるか?
2. 平日、起床時にすっきり感があるか?
3. 平日と休日の睡眠時間に2時間以上の差があるか?