政治

2023.03.15 18:00

ゼレンスキー演説の巧みな「言葉遣い」、ワードクラウド分析で判明

これについてジューコフは「敵の名を呼ぶ必要がない。その男が誰か、誰もが知っている。戦時中の大統領の国内向けの演説には、動員の役割がある」と説明する。

また、ゼレンスキー大統領は国外に向けて行う演説では、軍事的努力における目標を(国内向けの演説とは)少し変え、「勝利」ではなく「平和」の実現や「攻撃」をやめさせることにしているという。

「平和」は難しいワード

ジューコフによると、ゼレンスキーは聴衆によって「平和」と「勝利」という言葉の使い方を変えている。

「ウクライナ国内における政治的な発言のなかでは、『勝利』は明確に、占領されたウクライナの領土すべての解放だと定義されている。そして、『平和』はよりあいまいな意味で使われている」

「仮に『平和』をただ暴力がない状態と定義するのであれば、それは理論上、ウクライナの勝利がなくても存在し得るものとなる。そのため、ウクライナの政治家が『平和』を訴えるときには、この言葉の使い方に非常に慎重にならなければならない」

「(国が)存亡の危機にあるときに、ハト派とも、敗北主義ともみられないようにするためだ」

一方、国外に向けての演説に関する状況は、まったく異なるという。

「欧州のリーダーたちは、何をウクライナの『勝利』とするか、いまだ明確に定義していない。エマニュエル・マクロン仏大統領などは率直に、ロシアにとっての屈辱的な敗北は、不安定化の要因になりかねないと懸念していることを明かしている」

「だが、『平和』を望むことはすべての当事者にとって、ごく簡単に同意できることだ。つまり、国外に向けて使うこの言葉はゼレンスキーにとって、支援を求める上でも対立を招きにくい言葉だ」

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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