大学在学中からリスクを取ってビジネスの世界に飛びこみ、19年に起業した私の胸に、この言葉はビシバシ響きます。
仕事を始めて8年目になるいま、最初の一歩と変わらない好奇心を胸にチャレンジできているのか? 出来上がったレールの上で満足して、現状維持に甘んじてはいないか? 『チ。』の登場人物たちの生き様に触れながら、私自身も思いを新たにしています。
ウクライナ戦争が始まったときにも、そんな衝動に突き動かされました。
戦場から遠く離れているからといって、座して黙したままでいいのか。太平洋戦争の当事者だった日本人の子孫が、戦争に抗って「NO」の意思表示をするべきではないのか。
新宿の街頭に出て、アーティストと一緒に反戦デモを起こしました。すぐに世界が変わらなかったとしても、現代の日本で3万人もの人が集まり意思表示をしたことは、未来の分岐にほんのわずかでも影響を与えるはずです。
『チ。』は、ひとりのヒーローが世界を変える物語ではなく、それぞれの意志がバトンのように繋がって大きなうねりとなる物語。微力は決して無力ではない。そう信じさせてくれる力が、この作品にはあるのです。
【聞き手・企画協力】栗俣力也◎TSUTAYA IPプロデューサー。「TSUTAYA文庫」企画など販売企画からの売り伸ばしを得意とし、業界で「仕掛け番長」の異名をもつ。漫画レビュー連載や漫画原案なども手がける。