引き取った犬や猫をのびのびとした環境で飼育し、心身共に健康な状態になってから里親に引き渡す。それが「さかがみ家」の役目となる。すでに犬7頭、猫13頭を譲渡した。
特筆すべきは、保護活動を、寄付やボランティアに頼らず、「ビジネス」として展開する自力運営にこだわっている点だ。カフェ事業やグッズの販売で収益をたてながら、次のプランも動き出しているという。
開業からもうすぐ1年。新たな展開を目論む「さかがみ家」について、坂上忍に聞いた。
◤「人とペットのウェルビーング」連載◢
#1 新ペットフードに会員15万人 飼い主も犬も夢中になる理由
#2「ねこの寿命30歳」を目指す 病気検知トイレのこだわりと進化
#3 人はペットに癒しを「求めすぎ」ている 理想の関係を築くには
#4 犬の本音を見える化 イヌパシーが飼い主の「思い込み」を破る
「さかがみ家」の収入源となる幹と軸
──最初は私財を投入しての赤字運営ということでしたが、現在の収益はどうなっていますか?開業当初は、マネタイズは全くできていませんでした。まずは従業員たちに犬や猫のことを分かってもらう、お世話に慣れてもらうという下地作りから始めました。最初のうちの収入源は“雑食”でいいと思っていて、昨年9月にグッズを販売する「さかがみ家オンラインストア」をスタートし、同じ時期に「さかがみ家カフェ@木更津港」を1カ月限定でオープンしました。
そこから従業員の給与支払いもできるようになりました。昨年は当然赤字ですが、いつまでもそれではだめで、2年目は黒字化を目指します。僕は赤字が大嫌いなので(笑)。
いまは、維持費と先行投資、今後の事業展開分も含めて、今年はこれぐらい稼げばやっていけるかなというのがなんとなく見えている状態です。
また、いろいろな企業とも話をしながら「さかがみ家」の幹となるものを探している段階です。例えば空気清浄機の商品開発であったり、動物と暮らす家づくりのプロデュースであったり。今年はそれらで収益を上げることができそうな気がしています。しかし、幹はあくまでも幹。軸となるような事業が動きださないことには、軌道に乗ったとは言えないですね。
──軸になるものは何か決まっているのですか?
いま考えているのは、有料の「老犬・老猫ホーム」を経営することです。飼いきれなくなった子の受け皿としてホームを建てて、そこで亡くなるまでお世話をする。飼い主さんから月額や年額での「お世話代」をもらい、千葉県内で店舗展開しようと思っています。保護団体として収益を得るのは非常に難しいですが、僕の場合は芸能のお仕事をしているので、ある程度の集客力は見込めます。
母屋(上)とドッグラン