イはエコプロの筆頭株主で、19.29%の株式を保有している。1998年に同社を設立し、2007年に韓国のコスダック証券取引所に上場させた。フォーブスは、3月13日時点でのイの保有資産を11億ドル(約1480億円)と試算している。
ソウルの南の清州市に本社を置くエコプロは、傘下に電池材料メーカーのエコプロBMと、半導体施設などの工場用エアフィルターを製造するエコプロHNを抱えている。
投資家が特に注目しているのは、年初から株価が117%急騰したエコプロBMだ。時価総額は150億ドル(約2兆円)に迫り、コスダックで最も価値のある企業に浮上した。
エコプロBMは、EVバッテリーに使用するカソード(正極)を生産する韓国最大の企業だ。カソードは、電池セルの中で最も高価な部品で、リチウムやニッケル、コバルトなどのカソード材料は電池のコストの約3分の1を占めている。エコプロBMの2022年の売上高は前年比261%増の5兆4000億ウォン(約5560億円)で、純利益も175%増の2690億ウォン(約277億円)に急成長した。
昨年10月、サムスンの電池部門のサムスンSDIとエコプロBMの合弁会社は、韓国南東部の港町ポハンに生産能力で世界最大となるカソード材工場を完成させた。
一方、エコプロは、もう一つの子会社である電池材料メーカーのエコプロマテリアルの上場準備を進めている。報道によると、同社は今年後半、韓国のKOSPI市場に約20億ドル(約2700億円)の評価額で上場する予定という。
2021年には、別の韓国EVバッテリー関連企業がビリオネアを生み出していた。リチウムイオン電池用の化学薬品を製造するチョンボ(Chunbo)の創業者で共同CEOのLee Sang-ryulだ。保有資産は、同社の株価が2021年の最初の9カ月で40%近く上昇したことで、10億ドルを突破していた。同社の株価は、今年に入ってからも15%近く上昇している。
韓国は、EV用バッテリー分野で複数の世界的大手を生み出している。世界のEV用バッテリーの約4分の1は、サムスンとLG、そしてSKの韓国3大財閥の傘下企業で生産されている。
(forbes.com 原文)