北米

2023.03.14

銀行業界の暗黒の1日が「ビットコインの急上昇」を生んだ理由

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金融業界から長い間、懐疑的な目で見られてきたデジタル通貨であるビットコインが今、にわかに脚光を浴びている。3月10日のシリコンバレー銀行(SVB)の破綻に続き、12日にはシグネチャー銀行が破綻したが、ビットコインは過去24時間で20%近くも急騰している。

ビットコインの突然の上昇は、このデジタル通貨が従来の銀行システムに代わる健全な選択肢であると長年主張してきた人々にとってとりわけ喜ばしいことだ。主要銀行で構成されるKBW銀行指数が1日で10%下落し、ウォール街の大物が政府による救済を求める中で、暗号資産の冬に耐えてきたビットコイナーたちは、勝利の階段を駆け上っているかのようだ。

もちろん、ビットコインの直近の急騰が長続きする保証はない。ビットコインの価格は、今もなお昨年11月の史上最高値の6万8000ドルを65%も下回っており、ボラティリティも激しいままだ。しかし、この通貨の信奉者たちにとって13日の急上昇は、救いのサインとして受け止められた。

少なくとも3人のビットコインの強気派が今、その喜びをツイートしている。

ビットコインへの長期投資を支援する取引所のRiverは13日に「新規顧客の巨大な波が押し寄せている」とツイートした。「人々は、カウンターパーティーリスクのない健全なお金の重要性に気づいている」という同社のつぶやきは「以前から言っていた通りのことが起きただろ?」という思いを現している。

同じくビットコインに特化した取引所のSwan BitcoinのCEOのコリー・キップステンも、取引活動の活発化をアピールし「過去72時間で巨大なボリュームがSwanに押し寄せた」とツイートした。

ビットコインのライトニングネットワーク上に構築されたデジタル決済プラットフォームStrikeのCEOのジャック・マラーズも、ちょっとした自慢話をせずにはいられなかったようだ。「銀行の取り付け騒ぎの影響はここには無い。Strikeの取引量は記録的水準に達している」と彼はツイートし、ビットコインへの投資を呼びかけた。

伝統的な金融機関が顧客の信頼を維持するために苦戦する一方で、ビットコインの分散型システムは突如として、少しではあるが以前よりも魅力的に見え始めている。ビットコインの謎めいた創始者であるサトシ・ナカモトはかつて「従来の通貨の根本的な問題は、その機能を実現するために必要な信頼だ」と述べていた。ビットコインのトラストレスなシステムが今、魅力的に映るのは皮肉なことかもしれないが。

もちろんビットコインが既存の銀行システムを置き換える主流な選択肢になるためには長い道のりが必要だ。しかし、少なくとも当座のところ、ビットコインの信奉者たちは、銀行システムがまたしても政府にその命運を握られていることに失望している。

今、笑っているのは誰だろう?

forbes.com 原文)

編集=上田裕資

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