宇宙

2023.03.18 13:00

地球軌道の「宇宙ごみ」は増加の一途 すでに推定100兆個超

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世界の宇宙産業に規制は必要なのか──? 宇宙ビジネスが急速に拡大する中、科学界では、地球低軌道に送り込む衛星の数を制限する法的拘束力のある条約を制定すべきだとの声が上がっている。
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2030年までに世界の海の30%を保全する目標に向けた歴史的条約に各国が合意した先週、衛星技術と海洋プラスチック汚染の両分野の科学者からなる研究チームが、地球軌道を管理する方法についての国際合意が急務であると訴えた。

研究チームは米科学誌サイエンスに掲載した論文で、予想される宇宙産業の成長によって、地球の軌道の大部分が使用不能になる可能性があり、衛星打ち上げの際にはそれが生み出す宇宙ごみについても責任を持つべきだと主張した。

衛星急増の原因となるものの一つは、地球低軌道(LEO)衛星ネットワークを使って高速インターネットを提供するサービスの増加だ。SpaceX(スペースX)は当面の目標として1万2000基のStarlink(スターリンク)衛星投入を目指しており、これまでに3500基以上を展開。OneWeb(ワンウェブ)は約550基を展開している。Amazon(アマゾン)は「Project Kuiper」で3236基の衛星投入を計画しており、年内に最初のテスト衛星2基を打ち上げる予定だ。
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こうした理由により、軌道上の衛星は現在の9000基から2030年には6万基へと急増すると予測されている。地球の周辺にはすでに、推定100兆個以上の古い衛星の破片が追跡されず漂っているとみられている。

研究チームは、海洋保全の機運を高めたプラスチック製ストロー廃止運動のような転機が、宇宙ごみ問題にも訪れることを期待している。世界の海洋は、数十年にわたり魚の乱獲、生息地破壊、深海採鉱、プラスチック汚染を経て、ようやく保護され始めた。

英プリマス大学のリサーチフェローで、ナショナル・ジオグラフィック協会の資金援助を受けた本研究を率いたイモジン・ナッパー博士は「今の宇宙ごみの蓄積は海洋汚染と似た状況にある」と述べている。「世界の海で学んできたことを踏まえ、同じ間違いを犯すことなく、協力して取り組んでいくことで、宇宙の共有資源の悲劇を防ぐことができる。国際的合意がなければ、海洋汚染と同じ道をたどることになる」

研究チームは、海洋保全での失敗について人々が持つ後悔の念に訴え、宇宙ごみ問題への対処を求めている。プリマス大学国際海洋ごみ研究ユニット責任者、リチャード・トムソン教授は「プラスチック汚染の問題は10年前にも誰もが知っていた。あの時行動を起こしていれば、今世界の海にあるごみの量は半分になっていたかもしれない」と指摘。「世界の海で犯した失敗から学べることの中には、宇宙ごみの蓄積に活かせるものがたくさんある」と述べている。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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