もちろん情熱を持つのは素晴らしいことだ。人生の目的を与え、日常生活の単調さから解放してくれるから。だが、すべての情熱がキャリアを成功に導くわけではない。人によっては一生モノの負債や挫折感を背負うことになりかねない。特に起業して間もない人はなおさらだ。歌うのが好きだからといって、それが必ずしもキャリアにつながるとは限らない。
新規事業のおよそ2割が1年以内に失敗している。情熱のおもむくままにしてビジネス戦略や行動方針を方向転換できなければ、会社は解散してしまうだろう。方向転換の準備と実際の行動は、オンライン請求書サービスのSkynova(スカイノバ)に掲載された最新の調査によるアドバイスだ。
多くの人は、幸せになる唯一の方法は自分が情熱をもって何かをすること、またはそれに取り組むことだと考えている。起業ルートはひとまず脇に置いておくとして、「Quiet quitting=静かな退職」は労働の現場を混乱させ続けている。ギャラップの世論調査では、職場の魅力の欠如を理由に、50%の労働者が「静かな退職」をしていることがわかった。この10年間、人々には情熱に従う習慣が染み付いてきた。特に、経営や会社のプロジェクトに不満がある場合、または人生の目的を発見する方法に迷いがある場合にはそれが顕著だ。
しかし、情熱とうまく方向転換することはどのように関係するのだろうか?
情熱を持っているからといって、その分野の専門家や優秀な人材になれるわけではない。ときには、方向転換をする際には新しいスキルを身につけたり、古い会社のポジションから1、2段階下のレベルから始めたりする必要がある。「ただ情熱に従えばいい」というアドバイスに欠けているのは、自分のスキルセットとやりたいことが一致しているかどうかだ。これまで身につけたスキルは、キャリアの中で方向転換をする際には、出発点以上のものであるべきなのだ。
確かに、自分がしていることには満足していたいものだ。だが、満足感が自分の情熱と結びついているとは限らないし、情熱に従えば幸福になれるというわけではない。それよりも、自分が得意なこと、専門家になれることを、自分のやりたいことや、なりたい自分にどう生かせるかが、うまく方向転換する方法だ。
自分の土台となる、どんな業界にも通用する幅広いスキルを身につけよう。