サンフランシスコに拠点を置くBrexは11日土曜日に、その前日に発表した緊急融資枠に対して、すでに10億ドル(約1350億円)以上の申し込みがあったと発表した。
ドゥブグラスは、同社がまだ資金の貸し手を確保し、金利の条件を設定している段階だが、週明けまでにそれを完了させるとフォーブスに語った。「我々は、24時間体制で交渉を進めており、月曜日には支援を開始する」と彼は述べた。
企業向けのクレジットカードや支払い管理ツールを提供するBrexは、10日のSVBの破綻を受けて、給与支払いのための資金を引き出せなくなったスタートアップを支援しようとしている。SVBは、学校やワイナリーなど、テクノロジー業界以外の企業にも利用されていたため、影響はさまざまな分野に及んでいる。
Brex以外にも、いくつかのベンチャーキャピタル(VC)がスタートアップを支援しようとしているが「Brexの緊急支援は今、人気のあるオプションだ」と、ある関係者は、11日フォーブスの取材に話した。
ドゥブグラスは、Brexの試みがまだ途中の段階であり「VCが力を貸してくれるなら、本当にありがたい。彼らが、より多様な融資希望者を集めてくれれば、スタートアップに対してより良い条件を提示することも可能だ」と話した。
Brexは信頼できるのか?
しかし、VCのコミュニティも含め、誰もがBrexを信頼しているわけではない。投資家の中には、リスクを最小限に抑えるために、Brexに預けた資金を引き上げ、JPモルガンのような大手銀行に資金を集中させるようスタートアップに促している者も居る。フォーブスの取材にBrexは、手持ちのキャッシュが10億ドル近くあると述べた。同社はまた、顧客の資金を短期国債で保有しており、SVBの破綻の原因となった満期までの期間が長い米国債は保有しておらず、SVBで発生したような取り付け騒ぎは起こらないとドゥブグラスは述べた。
「当社のアカウントから大手銀行に資金を移す人は、実際に少しはいるが、当社の財務は流出よりも流入の方がずっと多い。しかも、Brexは銀行ではない」とドゥブグラスは述べた。彼は、緊急貸し出し枠にはまだ余裕があると語り、月曜日か火曜日までに資金が必要なスタートアップは、Brexのアカウントを開設し、週末中に申し込むべきだと付け加えた。
Brexは、こうした融資から「利益を得るつもりはない」とも、彼は述べている。ただし、同社の試みは純粋な人助けという訳ではなく、ドゥブグラスは、借入を行った企業が他のサービスを利用することを期待している。「当社にとって、多くのスタートアップが資金繰りに頓挫して廃業してしまうことは最悪だ。この問題を解決することは、我々にとって非常に良いビジネスと言える」と彼は付け加えた。
SVBの今後についてドゥブグラスは、この状況が解決されることを望んでいると述べた。「米国人が信頼できる銀行が4大銀行だけだとしたら、それは不幸なことだ。銀行システムには健全な競争が必要だ。米連邦預金保険公社(FDIC)が月曜日に何らかの発表を行い、次の週末までに資金を企業に戻してくれることを願っている」とドゥブグラスは語った。
(forbes.com 原文)