報道によると、同州ガルベストン郡で訴訟を起こした原告男性は、2022年7月に妊娠したことを知った当時の妻が、被告女性2人に中絶薬の入手を依頼し、3人目の被告女性が妻に薬を届けたと訴えている。
妻は、妊娠発覚前の2022年5月に男性との離婚を申請していた。薬を入手した後、自宅で自ら中絶を実行したとされる。2人の離婚は今年2月に成立した。
左派系ニュースサイトJezebel(ジェゼベル)によれば、 裁判所に証拠として提出されたテキストメッセージのスクリーンショットで、元妻は男性について「どちらにしても、彼がそれを私に不利なように利用するのはわかっている」と述べており、妊娠中絶をめぐって男性が自分に何らかの行動を起こすと信じていた様子が伺える。
男性は、損害賠償100万ドル(約1億3500万円)以上と、被告女性らの「殺人的行為」を理由とした中絶薬の配布差し止め命令を求めているという。
地元ニュースメディアのテキサス・トリビューンによると、被告3人は刑事訴追されていない。また、テキサス州の中絶禁止法では妊婦の責任を免除しているため、元妻は男性から提訴されていない。
地元紙ヒューストン・クロニクルは、共和党のブリスコー・ケイン州下院議員と、中絶禁止法の起草に尽力したジョナサン・ミッチェル元州司法長官が、男性の代理人を務めていると報じている。
被告女性らの責任を認める司法判断が下れば、テキサス州で違法とされている妊娠中絶薬の配布(郵送も含む)に対し、州裁判所が厳しい罰則を制定する流れが強まりそうだ。
元妻は、米連邦最高裁が昨年6月24日に女性の人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した直後に、中絶を求めたとされている。共和党が州議会で過半数を握るテキサス州は、最高裁が「ロー対ウェイド判決」を覆せば自動的に妊娠中絶を禁止する、いわゆるトリガー法を早々に成立させていた。同法では「妊娠が理由で命が脅かされている身体状態」が認められる場合以外の中絶を全面的に禁止し、中絶を提供した者に10万ドル(約1350万円)以上の罰金や終身刑を科せると定めている。
(forbes.com 原文)