クチネリは、大口献金を集められるスーパーPAC(特別政治活動委員会)である「Never Back Down(ネバー・バックダウン)」の発足を表明する動画で、デサンティスに大統領選出馬を呼びかけ、視聴者に対しては「米国の未来はロン・デサンティスだ」と訴えた。
クチネリはデサンティスの実績として「ディズニーから子どもたちを守るため、史上類を見ないほど行動した」と語った。これは、学校での性的指向や性自認に関する議論を規制するフロリダ州の「ゲイと言ってはいけない(Don’t Say Gay)法」にディズニーが反対したことへの報復として、ディズニーワールドを管轄する特区監督機関の委員を知事が指名できるようにしたことを指している。
また、2月に大西洋上空で中国の偵察気球とみられる気球が撃墜され、トランプ政権下でも米領上空に3つの気球が飛来していたことにもクチネリは言及し「デサンティス知事がデサンティス大統領になったら、中国のスパイ気球が米国各地を漂うことはなくなるだろう」と述べた。
「ネバー・バックダウン」はスーパーPACとして連邦選挙委員会に登録されており、資金調達額に制限はないが、デサンティスや他の候補者と直接連携することはできない。
クチネリは元バージニア州司法長官で、2016年大統領選ではテッド・クルーズ上院議員(共和党・テキサス州選出)を支援した。2020年大統領選の結果を覆そうとするトランプの試みにひと役買っており、報道によれば、郵便投票の不正の証拠を調べるよう国土安全保障省のアナリストに指示し、読み取り機の故障がトランプ敗北につながったという根拠のない陰謀論についてマーク・メドウズ元大統領首席補佐官とメッセージを交換したとされる。
トランプの元盟友でデサンティス支持に回ったのはクチネリだけではない。先月パームビーチで開催されたデサンティスの資金調達イベントには、ロン・ジョンソン上院議員(共和党・ウィスコンシン州選出)やトランプ陣営の資金調達を担当してきたロイ・ベイリーら、元トランプ支持者が何人も参加していた。選挙で共和党に大口の献金をしてきた保守派団体クラブ・フォー・グロースが先週末に主催したイベントでは、デサンティスが主役として登壇した一方、トランプは招待されなかった。
トランプ寄りの政治資金団体「Great America PAC(グレート・アメリカPAC)」の顧問を務めていたエド・ロリンズや、元トランプ支持者で政治活動家のジョン・トーマスも、昨年相次いでデサンティスを支援するPACを立ち上げている。
デサンティスは5月にフロリダ州議会が閉会するまで大統領選出馬を明言しないとみられているが、ここ数週間はトランプともども政治活動を活発化させている。
(forbes.com 原文)