ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はテレグラムへの投稿で、ロシアが81発のミサイルを発射し、10州で「重要インフラや住宅」が攻撃を受けたと述べた。ロイター通信によると、西部リビウで少なくとも民間人5人、東部ドニプロで1人が死亡している。
IAEAによると、南東部ザポリージャ州にあるザポリージャ原発は、ディーゼル発電機による非常用電源への切り替えを強いられた。ウクライナの電力大手Ukrenergo(ウクレネルゴ)によれば、同原発への電力供給は数時間後に回復した。
首都キーウのビタリ・クリチコ市長はテレグラムへの投稿で、市内の40%で暖房を利用できなくなり、2人が病院に搬送されたと述べた。
AP通信によると、ロシア国防省は今回のミサイル攻撃について、先週ロシア西部ブリャンスク州でウクライナが行ったロシア市民攻撃への報復だと発表した。ウクライナ当局はこの攻撃への関与を否定している。
ロシアは今回の攻撃で、極超音速ミサイル「キンジャル」を使用した。米シンクタンクの戦略国際問題研究所によると、音速の5倍の速さで飛行するキンジャルは迎撃が困難なことで知られている。ジョー・バイデン米大統領は昨年3月、キンジャルを止めることは「ほとんど不可能」だとし「ロシアがこれを使うのには理由がある」と述べていた。
米CNNテレビによると、ロシアの治安当局はウクライナの武装集団が先週、ブリャンスク州の村を襲撃したと主張。ロシア政府は、この「テロ攻撃」によって少なくとも2人の民間人が死亡したとしている。だがウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府顧問はロシア側の主張を否定し「自国民を怖がらせ」てウクライナ侵攻を正当化するための「古典的な意図的挑発」だと指摘した。
米紙ワシントン・ポストによると、ウクライナを拠点とするロシア人白人民族主義者の極右グループ「ロシア義勇団」が村襲撃の犯行声明を出している。
(forbes.com 原文)