FTCが提出を求めているのは、マスクに関連する社内のすべての通信記録や、大量レイオフ後の会社構造の詳細、内部記録へのアクセスを認める人の決め方に関する情報など。マスクは複数のジャーナリストを通じて、買収前のツイッターが保守派アカウントを実質的に検閲していたことを示すものとして「ツイッター・ファイル」と呼ぶ内部記録の抜粋を公開していた。
ツイッター側はこのほか、刷新したサブスクリプション(継続課金)サービス「Twitter Blue(ツイッターブルー)」の開始に関する情報提供、アカウントの現在の認証方法についての説明なども求められている。
ウォールストリート・ジャーナルによると、マスクによる昨年秋の買収以降、FTCはツイッターに書簡を12通送付。ツイッター側から返答があったこともあるものの、要請に対する返答が遅いことに懸念を募らせている。
同紙によればFTCは2月3日にマスク本人からの聴取を予定していたが、マスクは米Tesla(テスラ)の株主らが起こした訴訟での証言と時期が重なる可能性があったため、キャンセルせざるを得なかったという。
フォーブスはツイッターとFTCにコメントを求めたが、現時点で回答はない。
ツイッターの前経営陣は昨年5月、非公開のユーザーデータを広告主に提供していた問題で、FTCに制裁金1億5000万ドル(現在のレートで約206億円)を支払うことで和解した。FTCはその際、ツイッターにプライバシーに関する合意事項を守らせるため広範な権限が与えられ、現在それに基づいて調査を行っている。
ただ、この調査は政争の具になっている。民主党の上院議員7人はマスクによるツイッター買収が完了した翌月の昨年11月、FTCのリナ・カーン委員長に書簡を送り、ツイッターによる合意違反がないか調査するよう求めた。共和党はこうした動きに反発し、民主党政権で任命されたカーン率いるFTCが権限を乱用し、政治目的でマスクを標的にしていると主張している。
(forbes.com 原文)