2023年の安全な自動車ランキング、日本メーカーが上位に

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「新しい要件に応じて、メーカー側が迅速に、大幅なデザイン変更と技術的な進歩を実装したことを、大変うれしく思う」とハーキーは述べたうえで、さらなる進歩が必要だと指摘した。「米国における交通事故による死者数は、2022年前半に、20年ぶりの高水準となった。その一因は、歩行者を巻き込んだ衝突事故が着実に増えていることだ」

米国では、全死亡事故のおよそ半数、歩行者が死亡した事故の4分の3が夜間に発生している。IIHSの研究者は「歩行者衝突回避システムの多くがうまく機能していないことが、研究で示されている」と述べた。

評価基準を改定して、より厳格化することが不可欠だとIIHSの研究者は話す。IIHSの評価プログラムは、メーカーがさらに高い安全性を追求するよう後押しすることを目的としているからだ。ルーフ強度、ヘッドレスト、対自動車前面衝突のテストについては、もはや不要だという。連邦自動車安全基準(FMVSS)が改善されたことと、メーカー側の自主的な努力によって業界が進歩したことで、それらのテストを実施する意味が薄れてきたためだ。

今後も評価基準の改善を続けていくと、現在、IHSは難易度をさらに引き上げたテストを開発中だ。その目的は、高速走行中の事故や、乗用車以外の車両が絡んだ事故などに対応することだ。また、ヘッドレストの評価基準を厳しくすれば、後方から衝突された場合の負傷を緩和できる可能性があるとしている。

次年度には、2列目の席にダミー人形を追加した修正版試験も行われる予定だ。「現在は、運転席と助手席に高い安全性機能が取り入れられている。それらを後部座席にも導入するよう、メーカー側に働きかけるためだ」とIIHSは話す。

自動車の安全を訴える米消費者団体「Advocates for Highway and Auto Safety」のキャシー・チェイス会長は、IIHSが基準を継続して引き上げている点を称賛すると述べた。ただし、この評価が動機づけになることは事実だが、連邦政府も規制を改善しなければならないと付け加えた。

米国では2021年、交通事故による死者が4万3000人近くに達した。2022年の予備データによれば、死者数は「なぜか高水準で推移」しているようだ。チェイスは声明でこう述べている。「バイデン政権に対し、効果が実証されている解決策を優先的に出し、路上で日々発生している公衆衛生の危機的事態に対処するよう強く求めたい」

IIHSのほかにも、安全性を訴える消費者団体が自動車の評価を実施している。コンシューマー・レポートは今年2月、不具合の報告などに基づいた、信頼性に関する2023年版ランキングを発表している。

IIHSの受賞した全モデルのリストと各車両の詳細はこちらから、一般的な安全情報についてはこちらで見ることができる。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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