遠からず、現在ある仕事の一部は、存在しないものになる可能性がある。現在とは異なるかたちで行われるようになる仕事もあるだろう。また、思いもよらない役割が、必要とされるようになるかもしれない。
ただ、幸いなことにリーダーたちには、非常に効果的な2種類の人材育成方法がある──「アップスキリング」と「リスキリング」だ。
2つの主な違いは?
アップスキリングは、新たな専門知識を身につけ、すでに持つ能力を高めるための方法だ。一例として挙げられるのは、IT技術者が新しいソフトウェアの認定コースを受講することなどだ。一方、リスキリングは、従業員が別の役割に対応することを可能にする。従事してきた仕事の需要がなくなる可能性があるなか、それらに携わる従業員をほかの人材と入れ替えることを企業が望まない場合には、リスキリングによって従業員のキャリアパスを修正することができる。
アップスキリングのメリット
経営者の多くは、従業員が退職する理由は給与にあると考える。だが、業界を問わず、企業の離職率を高める主な要因の1つと考えられているのは、キャリアアップの機会の欠如だ。従業員たちは、行き詰まった仕事から離れられないと思いつつ働きたいわけではない。難しい課題にチャレンジし、キャリアアップしていくことを望んでいるのだ。
また、アップスキリングは従業員たちが強く望む学習の機会を提供することになる。社内に人材パイプラインを構築することにもなり、上級職の候補者を社外から選び出すための労力が不要になる。
勤務先の企業が自分たちのキャリアアップのために投資しているということがわかれば、従業員の生産性の向上も期待できる。学習機会は、仕事に対する満足感を高め、より良い成果をもたらすことにつながるのだ。