キャリア

2023.03.08 13:00

中年女性に対する偏見、キャリアの障害に

Getty Images

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高齢化が急速に進む西側諸国では、年長者に対する偏見はいかなるものであっても深刻な結果をもたらす可能性がある。この問題の大きさを浮き彫りにする研究結果が、米エール大学公衆衛生大学院により発表された。

それによると、年齢差別がもたらす医療コストは、米国だけでも最大630億ドル(約8兆6000億円)に達するという。

しかし同様に、少なくとも他人にどう見られるかという点において、年齢が誰にも等しく影響するわけでないのは明らかだ。

例えば米カリフォルニア大学バークレー校ハース・スクール・オブ・ビジネスのチームが発表した研究結果では、男性の大学教授に対する評価は年齢を重ねても一貫しているとみられる一方、女性教授に対する評価は30代でピークを迎え、40代後半に最低になることが明らかになった。

女性は加齢とともに「温かさ」を失う?

興味深いことに、女性教授に対する評価の変化はその人の能力の低下によるものではなく、歳を重ねることで、周囲からみた人柄の「温かさ」が薄れ、厳しい視線にさらされるようになることが原因だった。

これは重要な問題だ。女性リーダーはしばしば、性別に基づいた社会的期待として、能力と温かさの両方が同時に発揮することが求められている。

能力と温かさの両方がない女性は、キャリアにネガティブな影響を受ける場合が多い。女性が男性よりも温かさを求められているのは明らかで、周囲からの期待に応えられない場合は、厳しい目で見られる。これは、男性は働き、女性は育児を担当するという古い固定概念に基づいていると思われる。

温かさはこれまで、年齢とともに増すものと思われてきたが、女性に対する見方に関してはこれが当てはまらないことが今回の研究で明らかになったと、研究チームは指摘している。

つまり、女性は年齢を重ねるごとに能力を増す一方で、温かさを失っていくと認識されており、そのために女性に対する評価は厳しくなる傾向にあるのだ。

性格に関する苦情が増加

研究チームはさらに、女性教授の人当たりの良さや協力姿勢に関する周囲のコメントの数が、加齢とともに減ることを発見。女性教授への評価が低下すると同時に、教授の性格に関する苦情が増えていた。

ここでもまた、キャリアアップを目指す女性が直面する障害が明らかになっている。女性は加齢にともない、固定概念に基づいた期待を以前より満たせなくなっていると周囲から認識されるため、年齢がキャリアの妨げとなる可能性が高まるのだ。

女性が社内でキャリアアップを図ろうとした場合、特に性別に基づいた期待があるような役員クラスを目指すときには、組織的な障害を乗り越えなければならない。年齢を重ねるごとに温かく友好的に見えるように一層努力しなければいけないのは、まっとうな解決策ではない。

それより重要なのは、歳を重ねた女性に対する偏見が多く存在する事実と、そうした偏見が職場における女性への評価にもたらす影響を組織側が認識することだ。研究チームは、候補者についての議論と評価の方法を標準化する必要があると指摘。

「性格に対する評価を排除するか、男性にも等しく性格を評価する仕組みを確保すべきだ」と結論している。

forbes.com 原文

編集=遠藤宗生

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