1962年生まれ、今年で61歳を迎えるヨーだが、「エブエブ」では少しも衰えていないキレのいいアクションを披露しており、アカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされている。
ヨーの他にもアジア系の出演者は多く、夫ウェイモンド役のキー・ホイ・クァンも中国系ベトナム人、娘役のステファニー・スーも中国系。これに監督のダニエル・クワンを加えると、アジア色の濃い作品となっている。
近年、アカデミー賞では「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督、2019年)が作品賞と監督賞に輝いて以来、前回の国際長編映画賞の「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督、2021年)などアジア系の作品にも注目が集まっているが、その意味でも、この「エブエブ」には大きな期待が寄せられている。
冒頭でも触れたように「エブエブ」の11ノミネートは、もちろん今回の作品のなかでは最多なのだが、このところのアカデミー賞では妙なジンクスがある。ここ10年、最多ノミネート作品からは、作品賞は2度しか受賞に至っていないのだ。
しかも、昨年、11部門で最多の12ノミネートされていた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(ジェーン・カンピオン監督、2021年)は、下馬評でも有力とされていた作品賞を逃し、わずかに監督賞のみの受賞となっている。果たして「エブエブ」は何部門で受賞を果たすのか、最高賞の作品賞には輝けるのか。
連載 : シネマ未来鏡
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