映画

2023.03.06

アカデミー賞で最多ノミネート マルチバースで展開される「エブエブ」の楽しみ方

(C) 2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

主人公のエブリンを演じるミシェル・ヨーは、中国系マレーシア人。ジャッキー・チェン主演の「ポリス・ストーリー3」(1992年)などでアクションスターとして有名になり、「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997年)でハリウッドに進出。最近では「クレイジー・リッチ!」(2018年)や「ガンパウダー・ミルクシェイク」(2021年)などに出演している。

1962年生まれ、今年で61歳を迎えるヨーだが、「エブエブ」では少しも衰えていないキレのいいアクションを披露しており、アカデミー賞の主演女優賞にもノミネートされている。

ヨーの他にもアジア系の出演者は多く、夫ウェイモンド役のキー・ホイ・クァンも中国系ベトナム人、娘役のステファニー・スーも中国系。これに監督のダニエル・クワンを加えると、アジア色の濃い作品となっている。

近年、アカデミー賞では「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督、2019年)が作品賞と監督賞に輝いて以来、前回の国際長編映画賞の「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督、2021年)などアジア系の作品にも注目が集まっているが、その意味でも、この「エブエブ」には大きな期待が寄せられている。

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冒頭でも触れたように「エブエブ」の11ノミネートは、もちろん今回の作品のなかでは最多なのだが、このところのアカデミー賞では妙なジンクスがある。ここ10年、最多ノミネート作品からは、作品賞は2度しか受賞に至っていないのだ。

しかも、昨年、11部門で最多の12ノミネートされていた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(ジェーン・カンピオン監督、2021年)は、下馬評でも有力とされていた作品賞を逃し、わずかに監督賞のみの受賞となっている。果たして「エブエブ」は何部門で受賞を果たすのか、最高賞の作品賞には輝けるのか。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アッ ト・ワンス』は3 月3 日(金)から TOHO シネマズ日比谷 他、全国ロードショー(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

『エブリシング・エブリウェア・オール・アッ ト・ワンス』は3 月3 日(金)から TOHO シネマズ日比谷 他、全国ロードショー(C)2022 A24 Distribution, LLC. All Rights Reserved.

連載 : シネマ未来鏡
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文=稲垣伸寿

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