政治

2023.03.06 14:00

ヘンリー王子の支持率、米国で「不名誉な叔父」を大きく下回る

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今年1月10日に回想録『Spare(スペア)』を出版した英国のヘンリー王子はその約1カ月後、起こり得ないとみられていた「あること」を実現した。米国での人気度が大幅に低下、支持率が「マイナス」になったのだ。しかも、その数値はスキャンダルまみれの叔父を下回っている。

『ニューズウィーク』の委託により英調査会社レッドフィールド&ウィルトン・ストラテジーズ(Redfield & Wilton Strategies)が行った調査では、ヘンリー王子の支持率は2月19日の時点で、昨年12月5日から48ポイント急落、-10%となった。

これは、スキャンダルを理由に公務を引退した叔父のアンドルー王子を下回る結果だ。ヘンリー王子は出版を前に、新著の宣伝のため複数のTV番組に出演していた。

また、ヘンリー王子の妻メーガン妃の支持率は、同じ期間に40ポイント低下、-17%となった。もともと夫よりも人気度が低いことから、下げ幅は王子ほど大きくならなかったものとみられる。

英国の「自宅」を失う

ヘンリー王子に関するこうした状況に今後、変化がみられるとは考えにくい。父のチャールズ国王はヘンリー王子夫妻に対し、故エリザベス女王から与えられ、英国での住まいとしてきたウィンザーの「フロッグモアコテージ」から退去するよう命じたと伝えられている。そして、これは『Spare』の出版直後に下された決断だとされている。

バッキンガム宮殿は日本時間3月6日午前の時点で、5月に行われるチャールズ国王の戴冠式にヘンリー王子夫妻を招待したかどうか、明言していない(チャールズ国王のスタッフから、招待のメールが送られたと報じられている)。

アンドルー王子が嫌われる理由

一方、ヘンリー王子の叔父アンドルー王子は、数十年にわたる米国人富豪ジェフリー・エプスタイン(故人)との交流を理由に、王室の公務から引退している(エプスタインは性的虐待などで起訴され、勾留中に死亡した)。

最新のニューズウィークの調査では、アンドルー王子の米国での支持率は、-2%だった。言い換えれば、人気度は甥の王子よりも8ポイント高いということになる。また、メーガン妃と比べれば15ポイント高い。これは、注目に値すると言えることだろう。

ここで改めて、アンドルー王子が法的に、また自身の広報活動において、どれだけ苦しい状況に置かれてきたか、振り返ってみたい。まず、エプスタインの「相談役」だった(元交際相手で、性的虐待の被害者の少女たちを斡旋していた)ギレーヌ・マクスウェルと王子は、数十年にわたって親しい友人関係だったとされている。

さらにアンドルー王子には、エプスタインが所有していたニューヨークとフロリダ州パームビーチの邸宅、カリブ海のプライベートアイランド「リトル・セント・ジェームズ島」への滞在の記録もある。

また、エプスタインの事件に関連して米司法省から協力を要請されていたものの、数年にわたって拒否。性的暴行で自身に対する民事訴訟を起こした米国人のヴァージニア・ジュフリーには、和解金を支払っている。

こうした一連の行動のすべてが、米英両国におけるアンドルー王子の支持率をじわじわと引き下げ、最低レベルに至らせていた。こうした過去のいきさつを考えると、ヘンリー王子とメーガン妃がいま米国で、その叔父を下回る支持しか得られていないという事実は、まさに懸念すべきことだと言えるだろう。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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