ドローンで果物の収穫を自動化
一方で、自律飛行型のドローンで農家の収穫を手助けする企業が、イスラエルのテベル社(Tevel Aerobotics Technologies)だ。同社は、コンピュータビジョンを搭載したドローンが、熟した果物を識別してアームで摘み取り、コンベアに運ぶシステムを農家に提供している。テベル社は、先日の見本市で8台のドローンを用いた「アルファボット」と呼ばれるシステムが、リンゴや桃、アプリコットなどの果物を2.5秒ごとに1個のペースで摘み取るデモを披露した。このシステムは、人間には不可能な正確さで24時間、昼夜を問わず収穫を行うことを可能にする。
「カリフォルニア州の労働法は、ピッカー(摘み取りの作業員)を1日8時間以上働かせることを禁止している。当社のテクノロジーは、農業分野のゲームチェンジャーになる」と、カリフォルニア州サンホアキン・バレーを拠点するテベル社の米国事業部長のIttai Maromは、ワールド・アグ・エキスポの会場でフォーブスに語った。
AIを搭載したミツバチの巣箱
農家が直面する課題は、人手不足だけではない。作物の受粉に欠かせないミツバチの数が減少していることは、特にカリフォルニアの果物やナッツ農家の根本的な危機になりつつある。「ミツバチのコロニーは、年間35%という前例のない速度で減少している。この状況が続けば世界のミツバチは個体数を維持できなくなる」と語るのは、イスラエル発のスタートアップ「ビーワイズ(Beewise)」の共同創業者でCEOのサール・サフラ(Saar Safra)だ。同社は、AIを搭載したミツバチの巣箱で養蜂を自動化するテクノロジーを開発し、累計1億2000万ドルを調達している。
オークランドとイスラエルで事業を展開するビーワイズは、これまでに1000個のロボット型巣箱を配備し、統合型のソーラーパネルで電力を供給している。同社の蜂のコロニーを格納するボックスには、カメラとAI対応ソフトウェアが搭載され、蜂にとってベストな環境を提供している。
「当社のプロダクトは、養蜂家の作業の97%を自動化する。この箱の中でミツバチは、快適な環境で花粉を集め、蜂蜜をつくる。ミツバチのための5つ星ホテルなのだ」とサフラは話す。
ビーワイズは、このロボット巣箱を特定の作物の受粉シーズンに農家に貸し出している。サフラは、同社の財務状況についての言及を避けたが、現在は年間約1000個の製造台数を、1万個に伸ばす計画で、将来的に「数十億ドル規模のビジネス」を創出する可能性があると述べた。
「ミツバチは農業にとって必要不可欠な存在だ。このままのペースでミツバチが居なくなれば、農業は壊滅的な打撃を受けることになる」と、サフラは語った。
(forbes.com 原文)