経済

2023.03.06

米住宅ローン金利が再び7%突破、「市場の崩壊」に警戒感

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米国の住宅ローン金利が、再び約20年ぶりの高水準に戻ったことで、不安定な住宅市場がさらなる打撃を受ける可能性があるとエコノミストが警告している。

インフレの高止まりを示すデータが相次ぎ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを強化するとの観測が高まる中で、人気の30年固定住宅ローンの平均金利は先週、10月以降で初めて7%を突破し、再び約20年ぶりの高水準に近づいた。

パンテオン・マクロのチーフエコノミストは、この金利の急上昇が住宅需要に「新たな打撃を与える」と述べ、現状の高金利が続けば住宅販売は5月までに数年ぶりの低水準に急落するだろうと予測した。

住宅販売件数は、11月に前年同月比で35%以上も急減して以降、横ばいで推移しているが、コメリカ銀行のエコノミストのビル・アダムスは、最近の住宅市場の落ち着きが「少なくとも一部は幻だ」と述べ、その一因として、通常は市場が冷え込む時期の販売を後押しした、全米各地の季節外れの暖かさを挙げている。

アダムスは「高金利の影響が再び鮮明になりつつある」と述べ、住宅販売の先行指標である住宅ローン申込件数が2月下旬に前年比44%減となり、1994年以降で最低になったことを指摘した。コメリカ銀行は、中古住宅販売件数が年末までに20%以上減少し、すでに下がり始めている価格も10%近く下がると予測している。

一方で、一部の専門家はやや楽観的な見方を提示している。ウェルズ・ファーゴのエコノミストは3月1日のメモで、持続的なインフレが住宅市場の明るい見通しに影を落としかねないと認めつつも、この市場が昨年のような低迷に陥ることは、ありえないと顧客に語った。

直近の住宅金利の上昇は、複数のエコノミストが住宅販売の減少に歯止めがかかったと宣言した後に発生した。全米不動産協会が2月末に発表した中古住宅販売件数データによると、12月から1月にかけての減少幅は0.7%減と、過去1年間で最も小さく、市場の底打ちが指摘されていた。

しかし、予想外の金利の上昇によって、その見通しが覆されつつある。ウェルズ・ファーゴのエコノミストは「住宅市場には、また困難な1年が待っている」と述べていた。

米国の住宅価格を追跡するS&Pケース・シラー住宅価格指数は、5カ月連続で下落し、2022年6月の過去最高値を約4.1%下回っている。しかし、パンテオン・マクロのエコノミストは、住宅価格はまだ15%程度下落する余地があると予想した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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