国際的な専門家によるチームによると、これらの拷問施設は人々を恐怖に陥れて最終的に抵抗力を失わせるためのロシア政府の計算された計画の一部だったという。ウクライナのロシア占領地にはこのような拷問施設が多数存在している可能性が極めて高い。
ウクライナとロシアの戦争の犠牲者数
控えめに集計しても、今回の戦争での戦死者数はウクライナ、ロシア双方で数万人にも達し、負傷者も多数にのぼる。また、国連人権高等弁務官事務所はウクライナにおける民間人(非武装の人)の死者は開戦以来8000人超と推定し、負傷者も数千人にものぼると発表している。
さらに、この戦争により約660万人がウクライナ国内で避難生活をしており、これとは別に630万人が国外に逃れた。
ロシア軍による戦争犯罪は民間人への無差別砲撃、略奪、殺害、拷問、レイプ、子どもの拉致など多岐にわたる。2022年の侵攻以来、これまでに推定1万4000人の子どもが誘拐され、再教育や強制養子縁組のためにロシアに連れられていった。
ブチャ、イルピン、ホストメリ、イジューム、ヘルソンなどの都市では、戦闘に従事していない人に拷問や殺人といった恐ろしい暴力がふるわれた。多くの場所で集団墓地が発見されている。
ロシア軍による残虐行為を世界に知らしめたのは、おそらく首都キーウ近郊のブチャで戦闘が繰り広げられ、ロシア軍に占領されているときに市民と捕虜が大量に殺害された「ブチャの虐殺」だろう。ロシア軍が撤退した後の2022年4月上旬に虐殺の証拠写真と映像が公開された。
地元当局は、18歳未満の子ども9人を含む458人の遺体がブチャで見つかったと発表している。
マリウポリなど、まだ解放されていない都市は容赦無く砲撃され、消滅寸前だ。マリウポリが解放されれば、ここでもブチャのような悲惨な光景を目にする可能性がある。
占領者による組織的な拷問はこの戦争で浮かび上がった恐怖だ。モバイル・ジャスティス・チームが発表した証拠が示しているのは、ウクライナの文化的アイデンティティを踏みにじるための計画的な戦略だ。ここには、ウクライナの市民指導者や反ロシアの普通の人々を力づくで服従させ、再教育し、さらには殺害さえするために使用される拷問センターを設立・管理し、その運営資金を賄うための慎重に考えられた計画に関する証拠が含まれている。
(forbes.com 原文)