経済

2023.03.05 08:30

アマゾン、ワシントンD.C.郊外で進める第2本社建設を一時停止

Getty Images

Amazon(アマゾン)は「異常なマクロ経済環境」の中で、雇用凍結と大規模なレイオフを行った後、バージニア州北部の第2本社の一部の建設を一時中断したと複数の報道機関が報じた。

アマゾンは、ワシントンD.C.からポトマック川を隔てたバージニア州クリスタルシティにあるアマゾンの第2期キャンパス建設にブレーキをかけたが、アマゾン不動産責任者ジョン・シェトラーはブルームバーグに対し、同社はバージニア北部キャンパスに引き続き力を入れると語った。

「メトロポリタン・パーク」と呼ばれる第1期キャンパスは、6月のオープンを目指しており、約8000人の従業員が働く予定だが、1万4000人以上の従業員を収容できるスペースがあると、シェトラーは述べた。

同社は、22階建てのビル3棟と「ヘリックス」と呼ばれる350フィートの螺旋状のタワーを含む「ペンプレイス」として知られているキャンパスの一角の建設を停止する。

アマゾンは、バージニア州北部の本社に25億ドル(3400億円)投資した。一方、バージニア州は、 同社がこの地域に数千の雇用をもたらす見返りとして、約8億ドル(約1000億円)の減税と道路整備を約束した。

誘致に向けて複数の主要都市が数年にわたる争奪戦を繰り広げた後、アマゾンは2018年11月、第2本社をバージニア州とニューヨーク州ロングアイランドシティに分け、ナッシュビルに小規模なオペレーションセンターを置くと発表した。第2本社への入札を行った20都市にはアトランタ、ボストン、シカゴ、フィラデルフィア、ピッツバーグ、トロント、オースティンなどの主要都市が含まれていたが、最終候補に選ばれたのはニューヨーク、ナッシュビル、バージニア北部の3都市のみだった。

ニューヨークは新規雇用1件につき4万8000ドル(約650万円)の税額控除を、バージニア州アーリントンは新規雇用1件につき2万2000ドル(約300万円)の補助を提供することで合意したとされる。しかし、この提案は、地元の税金が大企業へのインセンティブに使われるべきではないという地元関係者やアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員の激しい反対にあい、アマゾンはニューヨークでの計画を断念した。

バージニア州が選ばれた後、アマゾンは2021年2月、パンデミックから1年が経過し在宅勤務が支配的な中、280万平方フィートの「ヘリックス」タワー、屋外円形劇場、公園の計画を提出した。アマゾンは他にも22階建てのオフィスビル3棟の計画を提出し、10万平方フィートの小売スペースと2.5エーカーの公共オープンスペースも提出した。

​​アマゾンのアンディ・ジャシーCEOは1月上旬、2カ月前に実施したレイオフを含め、1万8000人以上におよぶ大規模なレイオフを実施したことを明らかにした。ジャシーは声明の中で、今回の人員削減は、新型コロナウイルスの大流行時に多くの消費者がオンラインショッピングを利用したため、同社が「急速に」雇用を決定したことに続く「不確実な経済」のためであると述べた。

アマゾンのレイオフは、今年、米国企業で行われた最大の人員削減であった。雇用主は、高いインフレと最近の利上げによって、経済が後退することを恐れていた。同社は2022年秋にも「異常なマクロ経済環境」に対処するため、数カ月間の雇用凍結を実施する計画を発表している。2022年第3四半期末時点で、フルタイムとパートタイムを合わせて150万人強の従業員を擁しており、同社は米国で最も大きな企業の1つとなっている。

forbes.com 原文

翻訳=上西雄太

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